オフィスオートメーション学会 第51回全国大会での発表

2005年11月5~6日の2日間, 大阪成蹊大学現代経営情報学部におきまして「オフィス・オートメーション学会」全国大会が開催されました。

中小企業における情報化成熟度モデルの提言と題しまして,当法人会員7名による共同研究成果の発表を行いました。 藤原氏による発表を多数の参加者が聴講され,活発な質疑応答がなされました。

オフィス・オートメーション学会とは?(以下:OA学会)
OA学会は、「オフィス・オートメーション」という概念のもとに、まさにオフィスシステムそのものにとどまらず、経営システム、 企業システム、そして経営情報システム、社会情報システムなど各種の情報システム現象を理論的・実践的に研究する学際的な場として1979年 秋に設立(1980年5月、第1回全国大会)されて今日に至っている。  経営学を基軸において学際的な情報システム論的研究を掲げたわが国最初の学会であり、現在、日本学術会議第3部会の所属学会として当該 研究領域の発展において一貫して中枢的役割を担っている。

プレゼンテーション風景
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発表資料【パワーポイントはこちら】
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<発表内容>

中小企業における情報化成熟度モデルの提言【抜粋】

NPO法人ITコーディネータ京都

藤原正樹,柏原秀明,津田博,成岡秀夫,宗平順巳,杉村麻記子,若松敏幸

1. NPO法人ITコーディネータ京都の紹介

発表のはじめに当NPO法人の紹介を行った。

  • 2002年4月ITコーディネータ制度の普及,促進のための地域版として「ITC京都」を立ち上げ
  • 2004年6月 NPO法人「ITコーディネータ京都」設立
  • NPO法人ITコーディネータ京都は,ITコーディネータ制度の地域社会への浸透を目指し,戦略的な情報化投資に熱意と意欲をもつ不特定多数に対して支援活動を行うとともに,ITコーディネータなどの能力向上,育成,普及を図る。
  • 今回の発表は,有志7名の共同研究である。 

2. 調査の目的,内容,対象企業

本研究では,情報システムを活用して経営革新を実現した先進中小企業の事例調査を通じて,中小企業向け情報化投資評価方法,および情報化投資を最適化する組織能力評価方法を研究する。具体的な調査目的,内容,対象企業は以下の通り。

(1) ヒヤリング,調査の目的

中小企業向けの情報化投資マネジメント,投資評価方法を検討する。

(2)ヒヤリング対象企業

経済産業省がすすめる「IT活用型経営革新モデル事業」に採択された先進中小企業を対象とする。

(3) ヒヤリングの内容,方法

①モデル事業採択事業の実施結果,②IT活用の企業スキル,③業績評価指標の活用状況,等について担当者が当該企業を直接訪問し,ヒヤリングを実施した。

3. ヒヤリング対象企業の4タイプ

今回ヒアリングを実施した14社は以下の4つのタイプに分類される。

①IT新規導入による個別業務効率化タイプ

ITを使って,従来手作業でやっていた業務を効率化した。懸案事項が解決したため, 情報活用の次の方向が見え始めている。新規事業展開や経営革新に積極的に取り組み始めている。 【いわゆる典型的なモデル】

②ビジネスプロセス再構築型IT導入タイプ

従来のコンピュータ処理を見直し,ビジネスプロセスを再構築しながら 自社の経営課題解決に向けITを導入した。モニタリングにも着手している。【ITコーディネータ等が参画するケース】

③業界標準ビジネスシステム構築タイプ

業界団体として,業界標準のビジネスプロトコルを決めるとともに,それを標準システムとして開発し, 関係企業に提供している。

④戦略的ITマネジメント実施タイプ

優良大企業ばりの経営戦略と一体となったIT投資マネジメントを実施し,継続的にIT投資を実施している。

★上記4つのタイプの中で,中小企業成熟度モデルのベースとなり得るのは,①・②である。

4. ヒヤリング結果と分析

(1)「IT活用型経営革新モデル事業」採択事業の成果

→ 今回ヒアリングをした14社は,情報化投資で具体的な成果を上げていて,ほとんどの企業が投資マネジメントを実施している。
※従来の中小企業では,情報化投資のマネジメントを継続的に実施している企業例はまれで,年商100億未満企業ではIT投資の事後評価は7%に満たない状況(JUAS調査)であった。

(2) ITを活用する企業スキルについて

→ いずれも積極的に経営革新に取り組んでいる。

業績評価のためのモニタリング活動を開始した(ITCなどの支援あり)情報システムの管理については,アウトソーシング志向。

5. 中小企業向け情報化成熟度モデルに向けて

(1)情報化投資評価,マネジメントのためのフレーム

中小企業が情報化投資で効果を上げていくためには,下記のような情報化投資マネジメント・サイクルの成熟度をあげていく必要がある。

(2)中小企業向け情報投資マネジメントの重点事項

中小企業向け情報化投資を最適化するための重点ポイントは以下のとおり。

■経営革新・経営戦略と一体となった情報システム導入の推進

経営革新を推進していく梃子として,ITの積極的活用を行う。経営革新と情報化は表裏一体といえる。

■業績評価指標を導入し,継続的に評価・改善を続けていくこと

投資評価のための業績評価指標(KPI)を導入し,マネジメントサイクルの成熟度を高めていく。

■情報システムの開発・管理・運用は,外部資源を活用する

情報システムのマネジメントについては,アウトソーシングを積極的に推し進める。

6. おわりに

今回の研究を発展させる上で,今後の課題は以下の3点である。

第1は,情報システムを活用して効果を上げている企業の固有能力を評価する方法

第2は,中小企業の情報を進めるにあたっての外部資源活用の方向

第3は,これらをふまえて本論のテーマである「中小企業むけ情報化成熟度モデル」を作り上げること 

 

7. コメント

発表後のコメントでは,大阪成蹊大学の國友義久教授より,「中小企業むけ情報化成熟度モデル」  に向けての以下のようなアドバイスを頂戴した。

  • 成熟度モデルの仮説を立てた上での検証アプローチを検討するべき。
  • 経営革新と一体化した情報化推進にあたり,IT要件策定で失敗しないためのポイントがなにかを見極めていただきたい。

これらのご意見をふまえて,今後も当法人の継続研究課題としてモデル策定を進めていきたい。 

※最後に,本研究・調査にあたり,積極的な協力を受けた14社をここに記して謝意を表します。

株式会社 サンリット産業,株式会社 全国自治管理組合連合会,タナカ工業株式会社,株式会社 デリコ,東海バネ工業株式会社,ケニス株式会社,株式会社三晃,社団法人 日本塗料工業会,梅田和紙株式会社,昭和電機株式会社,株式会社武田,社団法人 西日本プラスチック製品工業協会,ナルックス株式会社,フジ矢株式会社 【順不同】

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