ブランド価値の構築 ─あるべき姿をカタチに、一貫性を持って伝える─ / 藤井 健志

■最近のスポーツの話題の盛り上がりから

 ワールドカップラグビーをはじめ、このところスポーツの話題が今まで以上に取り上げられることが多くなってきました。ゴルフの渋野日向子選手がAIG全英オープンで海外メジャー優勝を果たして以来一躍知名度が上がり、テニスの大坂なおみ選手しかり。ラグビーはにわかファンも急増して人々の応援に力が入っています。

 筆者も高校時代に体育の授業でスクラムやタックルの練習をした記憶はありますが、トライしたという覚えはなぜか記憶に残っていません。おかげでルールは大体理解でき、TV観戦を楽しませていただいております。

 

 いまや特にワールドカップとなれば日本中が盛り上がるサッカーも、1991年にJリーグが始まるまでは日本ではそれほど人気のないスポーツでした。それまで小学生が憧れたのは、なんと言っても野球選手でした。それが今では人気No.1です。他にバスケ、卓球、バドミントンなども注目されています。

 マスコミに取り上げられればたちまち多くの人に知れ渡るところとなり、ブランド力はアップします。

 

■小さな企業のブランド化

 関係する中小企業さんでお話を聞いたりすると、「商品の売れ行きがイマイチであまり儲かりません。お金はあまりかけずに、ブランド化してなんとか売れるようにしたいのですが…なにかいい方法は ?」と相談されることもときにあります。上記のスポーツのように優勝したり、○○賞を受賞したりというような事があれば一気に知名度が上がり注目される存在となるのですが、そんなことは極稀にしかありません。

 

 自分たちが信頼に値することをいろんな接点で一つひとつ地道に積み重ねることがはじめの一歩でしょう。

 

■そもそもブランドとは

 もともとは家畜の識別のために「焼印を押す」を意味する“brander”というノルウェーの古ノルド語から派生したものであると言われています。かつては自らの所有物であることを明示して区別するために牛などに焼印を押していたこともありました。今でも蒲鉾や饅頭に焼印の入った商品を目にしますね。

 

 そして商品・サービスを識別するため、競合他社のものと差別化することを目的に、名称、言葉、シンボル、デザイン等が積み重なって、企業あるいは商品・サービスに対するイメージの総体を意味するようになってきました。

 

 フィリップ・コトラー先生の定義によると、

「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」

英語からの翻訳なのでちょっと分かりづらいのですが、超簡単に言ってしまうと、ブランドとは“頭の中に存在する価値やイメージのかたまり”です。

 

■ブランディングは BRAND + ING

 社名やロゴを見なくても写真を見ただけで多くの人は「これはマクドナルド」、「これはスタバ」、「これはアップルの製品」とわかります。そのものの醸し出すイメージが感覚的に理解されます。これがブランドというものでしょうか。

 

 ブランディングは BRAND + ING です。

「会社や商品に意味や価値を付け、カタチにすること」= BRAND

「それをあらゆる活動を通じて、伝え、浸透させる」= ING

 

 会社のあるべき姿を規定してカタチにすること、これはまさに企業理念でしょうか。そして、それを伝え浸透させていくコミュニケーション活動がブランディング。

 

■WHAT(何を)、HOW(どのように)

 送り手側の「どう思われたいか」と受け手側の「どう思っているか」、のギャップを埋めていくことが必要とされます。それに基づいてさまざまな活動に一貫性をもたらし、受け手が感じる印象や評価をあるべき姿に近づけていくこと。製品(商品)、店舗、顧客対応、HP、看板、ちらし、ポスター…

あらゆる接触機会を通じて一貫した取り組みが、ブランド価値の向上を導きます。一貫性ということを特に強調したいです。

 

 ブランドとは信頼性の根拠です。自分たちが信頼に値することを今からでも始めていきましょう。

 

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■執筆者プロフィール

 

藤井 健志 Kenji FUJII

藤井コミュニケーション・デザイン研究所 代表

NPO法人ITコーディネータ京都理事

一級建築士・中小企業診断士・ITコーディネータ

ken@fujii-cdl.com

経営とITとデザインを繋いでまちづくりに貢献します。