2025年5月10日(土)京都経済センターでITコーディネータ京都は通常総会・併設セミナーを実施しました。
通常総会では令和6年度の事業・会計報告が承認され、令和7年度の活動計画案・予算案が可決されました。
また令和6年度は、会員数が過去最少時から倍増し110名(正会員・賛助会員)となり、京都市からの大型DX事業受託などを中心に活動が活性化したことや経営支援、教育企画、企業支援、各種研究会活動(Web/SNS研究会、DX推進支援研究会など)も精力的に行われ、金融機関との連携も推進していることが報告されました。
令和7年度は、中小企業のDX成熟度向上といった外部環境変化に対応するため、DX推進支援を強化し、組織内の横断的連携を強化する計画も報告されました。
ITコーディネータ京都 総会併設セミナー
第1部:中小企業のDX推進支援における金融機関とITCの協業 14:40~15:50
<事例報告 1>
コミュニティ・バンク京信 京信デジタルLab マネージャー 松田 健 氏
テーマ:京信流!そこまでする!?”おせっかい”なデジタル化支援!
<事例報告 2>
株式会社滋賀銀行 営業統轄部 デジタル推進室 八崎 奈央斗 氏 瀬尾 絃生 氏
テーマ:本店にあるデジタル推進室の若手育成の取り組み
第2部:地方ITC組織の活動紹介 16:00~16:40
一般社団法人 IT経営コンサルティング九州 代表理事 栗脇 昭博 氏
テーマ:(一社)ITC九州の活動紹介 ~ DX推進支援を主体として ~
■ 京信デジタルLab(京都信用金庫) 松田 健 氏
講演テーマ:「京信流!そこまでする!? “おせっかい”なデジタル化支援」
● 支援の特徴と背景
京信デジタルLabは2024年に立ち上がった社内ベンチャーで、地域企業と金融機関が共に“攻めのDX”を進める拠点
デジタル共創サポートは、400件以上の相談実績を誇り、単なるIT導入にとどまらない「中小企業に寄り添う支援」を展開
● 印象的な事例
東大阪の中小製造業に対し、Googleスプレッドシートを活用して工程の見える化を支援
Excelや紙ベースの業務を尊重しながら、最小限のデジタルで最大限の効果を実現
「導入したら終わり」ではなく、現場と一緒に考え続けるプロセスが信頼を生んでいる
● 受講した所感コメント
現場での悩みに対し、「最適なツール」を選ぶのではなく、「最適な進め方」を一緒に見出していく姿勢に、共感しました。ITCの役割が“導入者”から“対話する伴走者”へと進化していることを実感しました。

■ 滋賀銀行 デジタル推進室 八崎 奈央斗 氏・瀬尾 絃生 氏
講演テーマ:地方銀行の若手×ITCが挑むリアルなDX支援現場 ~“経営者の想い”を出発点に~
● 若手行員が主導するDX支援事例
【八崎氏】運送・倉庫業における紙とExcel中心の業務整理、業務フロー図と戦略マップで業容拡大の基盤づくりを支援
【瀬尾氏】製菓業のAccessベース基幹システム刷新を支援。属人化やセキュリティリスクの解消に向け、RFP策定フェーズへ移行中
● 共通するアプローチ
初動フェーズでは経営者の「ありたい姿」の把握が鍵
ITC研修で学んだ理論と、現場での実践が相互に作用し、若手行員の“気づき”と“成長”が加速
両事例とも、継続的な関係構築による信頼形成を重視
●受講した所感コメント
銀行の枠を越えて「経営者の右腕」となるような支援という点に感心いたしました。
“技術”より“対話”を大切にするスタイルは、ITC支援の価値を再認識させる好事例でした。

■ 一般社団法人 IT経営コンサルティング九州 代表理事 栗脇 昭博 氏
講演テーマ:地域密着×専門性で切り拓くDX支援のフロンティア ~ITC九州の挑戦と実績~
● 法人設立から5年、ゼロから積み上げた支援実績
2019年に独立系ITCが集まり設立。全22名がIT経験20年以上の専門家集団
初年度は売上5.2万円だったが、現在は年商2,600万円超に成長
各地の自治体や経産省案件で400社超の中小企業DX支援を実施
● 特に注目された取組み
福岡市や佐賀市、経済産業省の支援事業を通じて、受発注業務や社内DX体制の見直しを支援
「DXは導入が目的ではなく、経営課題解決の手段である」との一貫したスタンス
DX認定支援や戦略マップ作成、補助金活用支援など幅広い領域で伴走
●受講した所感コメント
「最初はメンバー全員が手弁当だった」という立ち上げ期のエピソードが印象的でした。
現場感のある支援と“伝わるDX”を展開し、地に足のついた伴走型支援のモデルケースとして参考になる内容でした。
