会社を変える/成岡 秀夫

ITの活用に当たっての重要なポイントに、「ITを活用して経営改革を行なう」
という視点がある。そのためには、従来の経営のあり方を見直し、ITを活用して
会社を変革していく姿勢が大切である。

「ITを活用して会社を変革する」には、従来からの「社風を変える」必要がある。
しかし、実際、現実に活動している、あるいは日々変化している会社という有機
的な組織では、「社風を変える」には並大抵の努力では達成できない。

創業して間もない新しい企業なら別かもしれないが、特に、伝統のある歴史の長
い会社の場合、永年培ってきた「社風」というものは、そう簡単には変わらない
し、変えられない、と良く言われている。

ITの活用による経営の改革には、この「社風を変える」、あるいは「社風を変え
ていく」ということが非常に重要な意味を持つ。IT技術が、経営の改革をサポー
トし、業績を向上させ、企業の体質を転換していくことに貢献するには、永年会
社に「染み付いた」古い考えを引きずった「パラダイム」を劇的に変化させてい
くことが重要である。

最近、出版されている書籍で良く読まれている「チェンジ○○」というタイトル
の書籍が数冊あるが、これなど、まさに、会社の中の考え方を変えるという、大
きな課題に取り組んだものである。

私見であるが、社風を変えるには、当然の事ながら、経営トップの考え方に影響
されるところが大きい。すなわち、トップの示す会社の方向性に左右されるとこ
ろが大である。しかし、もっと現実的に重要なことは、トップの意向を汲んで、
現場で旗を振る「チェンジリーダー」の存在である。

職場において、現場において、営業部門であろうが、事務部門であろうが、シス
テム部門であろうが、経営トップの意を汲んで、考え方を変えていくことを浸透
させて行くには、オピニオンリーダーである「チェンジリーダー」たる者の存在
が欠かせない。

特に、ITの利用活用による経営改革の実行実践には、この社風を変える「現場の
チェンジリーダー」をいかに養成するか、活用するか、育てるかがキーポイント
である。しかし、これには時間がかかることを覚悟せねばならない。

そのためには、まず、経営トップの示す方向性が重要である。トップの示す不退
転の決意に基づく方向性が明確であればあるほど、「チェンジリーダー」は生ま
れやすい。そして、トップの役目は、次に、その「チェンジリーダー」が生まれ
て来やすい環境作りと、活動しやすい環境作りに注力することである。経営トッ
プがひとりで旗を振るより、何人かの分身たる「チェンジリーダー」が現場を巻
き込んで「社風を変える」運動を起こせば、その伝播の速度は一気に加速する。

最近、業績がV字回復している企業を眺めると、従来の社風を一気に転換して、
別の企業に生まれ変わったごとき感じがするのは、私一人ではないだろう。

「インターネットは文化である」と言った方があったが、「インターネットを利
用して企業の経営改革を行なっていくには、社風を変えていこうという企業の風
土、すなわち、それを受け入れていく文化が必要である」ということが、凝縮さ
れているのであろう。

言えば、簡単なことであるが、実践するのは、難しい。つまるところ、地道なこ
とをこつこつ積み重ねて結果を出すのが王道かもしれない。簡便な方法などない
のであろう。

数多くの企業を買収し、買収したどの企業の業績も回復させている著名な地元の
経営者は、「業績の落ち込んだ企業は、基本的な単純なことがきちんと出来てい
ない。立て直すには、難しい理屈は要らない。その出来ていない基本的なことを、
地道に、繰り返し、その企業の社風を変える気概で取り組めば、業績は必ず回復
する。」との言葉がある。

数多くの修羅場からの言葉として、真摯な気持ちで受け止めたい。ITを利用活用
するには、まず、「社風を変える」ことから始めるべきである。


■執筆者プロフィール

成岡秀夫 naruoka@dohoprit.co.jp
1952年生まれ。1974年大学卒業後、化学繊維メーカーで新規化学繊維の製造開発
に従事後、1984年同朋舎出版取締役、1997年図書印刷同朋舎取締役。
中小企業診断士。上級システムアドミニストレータ。ITコーディネータ。
生まれる前からの生粋の阪神ファン。

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