お客様のハートをつかむ / 小林 由香

厳しい寒さが続きますが、日照時間は少しずつ延び、自然界からは春への足音が聞こえてきます。経営を取り巻く環境は、依然厳しさの真っ只中から抜け出せませんが、せめて、気持ちは前向きに。しばし、お付き合い下さい。

 ある物品販売業界の調査によると、企業が顧客を失う理由は、「競争会社からの誘引」の9%、「商品への不満」の14%を大きく引き離し、「従業員の無関心な態度」がなんと68%に昇ったということです。

 景気の先行きが不安な時代→モノが売れない→企業は保身にまわる→つまり内部重視→顧客に無関心になる→商品・サービスの品質低下→さらに売れない・・。
 このような、悪循環を引き起こしかねません。

 では、悪循環を断ち切り「お客様のハートをつかむ」にはどうすればよいのでしょうか。顧客の求めていることを知る。つまり顧客の立場に立って商品・サービス提供のプロセスを見直すことが必要になります。
 次の3つのことは、実行できているでしょうか。
 1、顧客の声に耳を傾ける
 2、顧客がよく行く所に行ってみる
 3、自らが自社の顧客になり、商品やサービスを利用してみる

 顧客は、例えば物品販売業の場合、商品そのものの品質はもちろんのこと、その商品の購入に絡む様々な効果を求めているものです。以下は一例です。
(例)
・電動ドリルの販売会社
 顧客は、実は電動ドリルが欲しいのではなく「穴」が欲しい。
・住宅販売会社
 顧客は、新しい住まいを建てる「プロセスに参加」したい。
・婦人服販売会社
 顧客は、年齢より「若くスリム」に見せたい。
・デパート
 顧客は、買い物の「時間と空間」を楽しみたい。

 以上のような例は、ご存知の方も多いと思います。リーズナブルな商品サービスの提供だけでは顧客が満足しなくなった昨今、本当に顧客は何を求めているかをすばやく知り、対応することが非常に重要になるのです。

 顧客の求めているものをすばやく把握し分析するのに有用な手段がIT(情報技術)化です。IT化といっても大掛かりなシステムのみならず、極端に言えば罫線紙や、エクセルのような表計算ソフトの利用から、ERPパッケージ(下記参照)の導入まで、企業のおかれる状態により無数の選択肢が存在します。
 ITコーディネータは企業の内部環境と外部環境を分析して、「主要成功要因」を導き出すお手伝いをし、個々の企業にとってベストなIT化を提案いたします。 あなたの会社も「お客様のハートをつかむ」ために、ITコーディネータにご相談されてはいかがでしょうか。

(参考)
 ERPパッケージとは、企業の経営活動における購買、生産、販売、会計、人事などの基幹業務を構築するアプリケーション・ソフトウェア製品であり、標準的な業務フローと統合データベースが組み込まれ、各業務間の連携が図られています。業務の流れをパッケージに合わせる必要性から、導入は通常BPR(業務改革)と並行しながら行います。


■執筆者プロフィール

小林由香(Kobayashi Yuka)
小林税理士事務所所長(ITコーディネータ、税理士)
1964年京都市生まれ
5年間の公認会計士事務所勤務の後、現在の事務所を開設し、今年で10年目。
「関与先様の発展のため、最大限の努力をいたします。」がモットー。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/max123/
max123@mbox.kyoto-inet.or.jp