ERPパッケージ導入の前に / 大塚 邦雄

今年の冬は長期予報で暖冬になると言っていましたがまだまだ寒い日が続くようです。寒さが和らいだかなと思ったらまた寒気団が来たりして、日本の経済と同じのようですが、それであればそれなりの対応をとるしかありません。

 近年ERP(Enterprise Resource Planning)と言う言葉も定着してきた感がありますが、それでも中堅・中小企業にとってはまだまだ遠い世界のようにみられています。ERPパッケージと言えば大手企業のシステムに導入されるもの、外国製の高価なソフトという定評ですが、しかし最近は中堅・中小企業でも導入を検討されているところが増えつつあります。実際直近の事例では年商20億、従業員約100名の会社でも外国製のERPパッケージを導入した例があります。
また国産のERPパッケージも奮闘しています。

 ところでパッケージの導入の関心は高いのですが、気を付けなければいけないのが導入にあたっての取り組みです。ERPパッケージは業務を標準化した形で作られていますし、それが1つのセールスポイントでもありますが、なによりも自社の管理レベルをワンステップステップアップさせる道具です。無理にERPパッケージに業務を合わせることは混乱のもとになりますので避けねばなりません。従ってパッケージの導入に当たってはその目的をはっきりさせることが最も重要です。

 始めにパッケージありきではなく、自社の業務改革をどう進めるのか、効果を何で測るのかを明確にした上で、自社に合ったパッケージを選ぶことです。場合によってはERPパッケージを必要としないかも知れません。またERPパッケージを使いこなすのも根気の要ることです。当初の目的がどう達成されたかによってERPパッケージの評判も変わってきます。導入は人任せにせず、自社の成熟度に合わせた導入計画と弛まぬ改革への強い意志が、システム化成功の鍵となります。その中で留意しておく事は、ERPパッケージはあくまでも業務改革の手段であり、過度な期待を持たない事です。そしてシステム化にあったて本当に必要なことが何かを知ることが業績を左右することになります。情報化投資もままならぬこの時期、投資するなら効果のある使い方に徹すべきです。そのためにITコーディネータを利用するのも1つの方法ではないでしょうか。


■執筆者プロフィール

大塚 邦雄
情報処理システム監査、ITコーディネータ
25年以上にわたるシステム経験をもとにIT化を支援します。
e-mail:kunio920@mbox.kyoto-inet.or.jp