得意先の与信管理どうしていますか /下山 弘一

職業柄、色々な会社の財布の中身を見させてもらっています。会社の外からの見た目と実際の中身が随分違うといったことがよくあります。例えば、会社は軒並みの減収により年商=借入金残高であり、毎月の返済に事欠いているのに、広告宣伝をバンバン行い、夜のネオン街に羽振り良くお金を落とし、周囲からは「この不景気なご時世に、あそこの会社は景気が良くて…」と羨ましがられたりします。
 景気が良いように見えるからといって、こんな会社にどんどん売上を注ぎ込んでいると、休み明けのある日「その会社が週末に倒産していた」といったことに出くわしてしまいます。このようなことは中小企業だけでなく、大手の老舗といわれる企業でも最近多く見受けられ、「得意先がその企業の子会社・下請け会社であった」といったこともよくあり、大手だからといって決して安心していられない。
 歴史が長い分、その間に蓄積されたものも多いのが老舗企業の特徴。本来ならば新しい企業達よりも多くの経営資源を持ち、強みを発揮できるはずが、なぜこのように衰退が進んでいったのでしょうか。それは、過去の成功体験が今の時代に通用しなくなってきているからではないでしょうか。
 歴史からも同じことを学ぶことができます。太平洋戦争において日本軍が採った戦略は、過去に日露戦争や中国大陸での成功体験と同じ戦略でした。結果、日本の戦略を研究し、対応策を講じたアメリカに敗北をきすこととなります。今回のイラク戦争においても、アメリカは過去の戦争のやり方を変えた方法を採り、圧倒的な勝利をおさめるに至ったのではないでしょうか。
 これらことは、経営の世界にも当てはまり、ずしりと重いものがあります。特に若い感性を必要とする業態には強く当てはまることでしょう。もちろん、過去の全てを否定するものではありません。「基本に返り、本業に返る」と言われることの中には、時代が変わっても永久不変の真理である部分もあります。何が不変であり、何を変えていくべきかの判断を見誤ってはいけません。
 不変の真理は、多くは企業の社会的存在としての基本的なものの考え方の部分であり、逆に、具体的に今の消費者等に対応する戦略等については、環境変化をきちんと受け止めた柔軟な対応を要求されることになります。
 過去に固執し、時代の流れを無視した対応は、いくら努力を重ねたところで、結局顧客にそっぽをむかれることになります。成功体験を捨て、新たな視点から挑戦する勇気を持つことが求められています。
 最初の話に戻りますが、会社の中身は外からはなかなかわかり難いものです。
取引先の与信についてどれくらい調べられるものでしょうか。取引先が大企業なら殆どの場合、財務データをネット上で取得したり信用情報で入手可能です。ところが取引先が中小企業になると財務データの入手は難しい。そこで、インターネットで中小企業情報を調査する方法をご紹介します。

1 大手総合商社の子会社が運営している有料サイトから「企業情報」を検索。
そこで「評点情報」や「業績情報」とともに経営者の「個人情報」も取得出来ます。
http://www.supernet-solutions.com/

2 本社住所、経営者自宅住所で「登記情報提供サービス」を使って不動産情報(面積、担保の状況)を収集する。 http://www1.touki.or.jp/

3 次に航空測量会社と不動産鑑定会社が運営する不動産情報サイト(有料)に行き、取引先の会社不動産及び経営者の自宅不動産の不動産価格を調査。ゼンリンの住宅地図に路線価や公示価格が重なった状態で検索できるので会社名、個人名で該当する不動産をすぐに発見でき、近傍類地の評価も加味した評価額が数分待てば、ネット上に表現される。http://www.tas-japan.com/

 この一連の調査で、評点・業績・本社不動産価格・担保設定の状況・経営者個人の保有不動産価格、高額納税者であれば所得税の額などが確認できます。この間の作業時間は約30分、サイトを利用したコストは9千円程度。
 調査会社に依頼しなくとも自分の机上で「必要なときに」行える。各サイトは単独ですが、うまく使えば一連の流れとして面白い利用が可能だと思います。


■執筆者プロフィール

下山弘一
シモヤマ会計事務所 所長
税理士・システムアドミニストレータ・ITコーディネータ
会計をもっと簡単に、経営をもっとスピーディーに。未来の経営につながる管理会計を中小企業に広めるためにITの活用を!
中小企業のIT化を自ら実践し、日夜新しいものに挑戦しています…タダの珍しい物好き?
http://mykomon.ecall.co.jp/account/
http://www.e-komon.jp/