担当先の3月決算法人の決算、税務申告がほぼ完了いたしました。企業をとりまく経営環境は依然厳しさを増しておりますが、その中で健闘された企業もありました。力強い思いがいたします。
前回(2003年1月20日付)のコラムで、客離れの原因の7割は、「従業員の無関心な態度」であるということをお話ししました。
この無関心さとは経営トップの経営姿勢から、直接及び間接的にお客様に接する部門の従業員の態度、コミュニケーションのやり方などのことです。
そこで今回はコミュニケーションについてお話しします。
ではコミュニケーションとは何でしょう。『三省堂EXCEED英和辞典』で引くと「伝達, 通信, 交信, 連絡・・・」とありますが、コミュニケーションの本来の意味である、「交換」とか「共有」とはニュアンスを異にします。
本当の「コミュニケーション」とは、「(情報・知識・感情・意思)を複数の人々で共有すること」です。
例えば、お客様に商品の説明をするような場合、一方的な「伝達」になっていることはないでしょうか。
パソコンの周辺機器を購入しようとしていたら、店員さんが「インターフェースは何とかで、解像度は何dpi、PCの動作環境はCPUが何々以上、メモリ、空ディスク容量が何メガとか何ギガ必要で・・・。」などなど矢継ぎ早に専門用語で説明されて、「家に帰って確かめてきます。」と早々に立ち去った経験があります。
せめて「あなたのパソコンはウィンドウズですか。マッキントッシュですか。
ウィンドウズならXPですか。ペンティアムとかセレロンって解りますか。」程度の質問なら、答える事ができたでしょう。そこから始まって、周辺機器の特徴や、使い方等を聞き、数ある選択肢の中から納得して商品を注文していたかもしれません。
企業にとってお客様とのコミュニケーションは信頼関係を築くために非常に重要だと思います。最初の出会いからサービス提供後のメンテナンスまで、コミュニケーションに始まりコミュニケーションに終わるといっても過言ではないと思います。
説明不足、専門用語の頻発、企業の側に立った考え方、押し付け、不親切な態度などは、お客様に不安感、不信感を与えてしまいます。これらが、客離れの大きな原因になってしまうわけです。
「偉大な成果は、やり慣れないことをしたり、思いもかけないよい顧客に出くわしたり、あるいは顧客を区別するといったことからは決して生まれないのです。
最後に成果を決めるのは、次のようなビジョンが日常的なものとして定着しているからにほかなりません。それは『全従業員が、毎日、すべてのお客様のために』です。」
これは、『サービスが伝説になるとき』の著者ベッシー・サンダースの言葉です。ノードストローム社(百貨店)の従業員がクレーム客に対し「奉仕と親切」の精神で行ったコミュニケーションが思わぬ顧客獲得に繋がったときのことを言っています。
まさにその通りだと思います。企業が、自社のドメインのなかで、「奉仕と親切」の気持ちでお客様とコミュニケーションを図り、顧客満足を獲得することが出来るならば、また、そのような企業こそ今の時代を生き抜いて行く事が出来ると思います。
企業内部で、また、企業外部と「奉仕と親切」の気持ちのこもった、グッドコミュニケーションは出来ているでしょうか。例えば、挨拶の際のアイコンタクト。
こんなあたりから見直してみるのはいかがでしょうか。
■執筆者プロフィール
小林由香(Kobayashi Yuka)
小林税理士事務所所長(ITコーディネータ、税理士、AFP)
1964年京都市生まれ
5年間の公認会計士事務所勤務の後、現在の事務所を開設し、今年で10年目。
「関与先様の発展のため、最大限の努力をいたします。」がモットー。
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