成熟度モデル(CMM)について/西田 則夫

巷では、阪神フィーバーの真っ最中で、巨人の自力優勝がなくなったかとか。
私は大阪生まれの、大阪育ちですが、阪神ファンでなく、長嶋、王時代からの巨人ファンでして、以前の「メイク・ミラクル」の奇跡をわずかながら期待している今日この頃です。
 もう30年以上前になりますが、当時の阪神は村山、江夏、バッキーらの強力投手陣とカークランドなどの個性的なバッティング陣で、管理野球の巨人と鎬を削っていました。ただ、優勝はいつも巨人であり、阪神ファンにはまた来年という夢を与え続けるのみでしたが、今年は、外部からの補強はあったものの終盤の逆転劇に見られるようにチーム全体で闘っている感じです。
 これは阪神ファンでない私の想いだけですが、当時はチームの個人技で闘っていたのではないかと、組織として闘うことが少なかったのではないかと。
 私の仕事のシステム開発もまだまだ個人技に頼ることが多い反面、作業のプロセスを重視したISO9001や、ソフトウェアプロセスを管理する手法の導入で、メーカーにみられる作業のやり方が、組織として統一されるようになってきました。そういった組織の成熟度のレベルをあらわすモデルとしてCMM(Capability Maturity Model)が提唱されています。
 システム開発プロセスは、
1.技術者個人の能力への依存度が高く、個人差が大きく結果のばらつきも大き
  い。
2.目に見えにくくて実態がつかみにくい。
3.秒進分歩の技術革新で、開発ツールや技法もすぐに陳腐化してしまう。
従って、プロセスの改善のやり方は非常に多様であり、単純には実施できない性格を持っています。しかし、システム開発をうまく行っている組織とそうでない組織とには明らかな違いがあり、開発がうまくいく組織とそうでない組織も分析するとそれぞれ共通のパターンを持っています。
 CMMでは、この相違を5段階の組織の能力成熟度に整理しています。成熟度
レベルはレベル0をはずして、
レベル1初期:レベル2に到達していない組織
レベル2反復できる:基本的なプロジェクト管理が実施できている
レベル3定義された:組織的にプロセス管理を行っている
レベル4管理された:プロセスおよびプロダクトの定量的管理が実施できている
レベル5最適化する:プロセス改善に全員が参加し、改善活動が日常化している
と定義されています。
 政府のe-Japan計画の“電子政府”の調達条件に積極的にこのCMMを活用し一定額以上の案件では、CMMの導入を受注しようとする企業に義務付けようとする動きもあるようです。
 ちなみに今年の阪神のCMMレベルは4か5なのでしょうか。でも、巨人のミラクルレベルも期待したいファンの一人です


■執筆者プロフィール

西田 則夫(Nishida Norio)
情報処理プロジェクトマネージャー、ITコーディネータマネジメントの経験を顧客満足の向上に役立てたいと思います。
Norio_Nishida@cii.csk.co.jp