商品・サービス開発 5つの着眼点/梅津 政記

 「お客様があなたの会社の商品やサービスを購入されることによって、何のメリ
ットがありますか?」
他社との違いを明確にした上でわかりやすく説明できるなら、あなたの会社の商
品・サービスは、間違いなく競争力のある商品です。購入するメリットのある商
品とは、言うまでもなく、お客様のニーズを満たし、不満、困っておられること
を解決する商品です。
私は、商品・サービス開発の着眼点を、独自性と技術力の観点から、次のように
5つに分類しています。

◎鵜飼型
独自性が低く、技術力の高い商品・サービス。先発メーカーが高度な技術でもっ
て開拓した市場を、同様の商品でもって後から市場参入し、その市場を制圧する
手法。一般的には業界のリーダー企業が採用する手法。
◎おうむ型
独自性、技術力とも低い商品・サービス。ライバル企業が開発した商品を若干改
良して市場に出す手法。「鵜飼型」との違いは、「おうむ型」は技術レベルが高
くなくても製造が可能な点にある。
◎フロンティア型
独自性、技術力とも高い商品・サービス。顧客ニーズを独自につかみ、高度な固
有技術でもって新たな商品開発を行う手法。
◎気配り型
独自性は高いが、技術力が低い商品・サービス。顧客ニーズを独自につかみ、顧
客のかゆいところに手が届く気配り商品を開発する手法
◎あてはめ型
独自性、技術力ともレベルは様々。自社商品、自社技術を他の市場に適用できな
いか、1つ1つしらみつぶしにあてはめて商品開発を行う手法

これらの観点のうち、中小企業に最も適しているのは「気配り型」です。絶えず
お客様の現場に赴いてそのニーズ、不満、困り事を独自につかみ、お客様のかゆ
いところに手が届く商品を開発する手法です。開発費用があまりかからず、しか
も商品の独自性を発揮できるため、中小企業には最適です。
この手法をガーゼ製造販売会社(以下A社)の事例に即して説明しましょう。
包帯等に使用されるガーゼの商品開発といえば、どんな商品が思い浮かびますか。
商品開発の種は現場に無数に転がっています。A社は病院という現場に着目しま
した。ご存知のように病院は看護婦さん不足です。彼女らの仕事を軽減するニー
ズは、非常に強いものがあります。
例えば、手術の現場。手術時のガーゼの使用については滅菌したガーゼを使用し
なければなりません。ところが事前に滅菌しても手術時までに新たな細菌が付着
するため、滅菌は手術の直前にする必要があります。看護婦さんは直前にいろい
ろな大きさのガーゼを切り取り、1枚1枚丁寧に滅菌しなければなりません。彼
女らの手間暇は大変なものです。
この現場を見て、「これはいける!」と思ったのがA社の社員です。事前にいろ
いろな大きさのガーゼを滅菌処理し、1枚1枚汚染防止用の包装をして販売すれ
ば、看護婦さんの手間暇が解消して、喜んでいただけるのではないか。
予感は見事に的中し、滅菌ガーゼは瞬く間にヒット商品に成長しました。しかし、
高度な技術が必要でないためにすぐに他社の模倣商品が市場に氾濫します。A社
は滅菌ガーゼに次ぐ新たな商品を開発しなければなりません。
次に着目したのが脳外科手術の現場。頭を手術する場合、多量に出血するために
ガーゼは大量に使用しなければなりません。ところが、人間の脳の構造は非常に
繊細なために、使用するガーゼは各種各様のサイズが必要になります。最も小さ
いものとなると7ミリ四方の正方形のガーゼです。このような各種各様のガーゼ
を手術前にカットしなければなりません。やはり、手間暇が大変です。
この現場を見たA社の社員は、さっそく脳外科手術用のガーゼを商品化して、再
びヒット商品に育てました。
お客様の現場を熟知し、お客様のかゆいところに手が届く商品、私はこのような
商品を“孫の手”商品と呼んでおります。中小企業は“孫の手”商品を連発して
開発する商品開発体制を築き上げることが非常に重要です。
以上のように、商品・サービス開発の時点では、「気配り型」が有効です。ただ
し、それを販売する段階になると、「お客様があなたの会社の商品やサービスを
購入されることによって、何のメリットがあるのか明確に説明できる商品・サー
ビス」であっても、それだけでその商品・サービスは売れるとは限りません。い
い商品・サービスだと思っても、購入に至るまでにはいろいろな障害がお客様に
は存在するからです。例えば、価格的な不安、購入後の実際の効果、商品の操作
困難性などの障害に直面します。
開発した商品・サービスを売れるものにするためには、お客様が購買される際の
いろいろな障害を1つ1つ丁寧に取り除き、それらを購入しやすくする仕組みづ
くりを考えることが大切です。「もし自分が顧客であったら、自社の商品を買い
たいと思うかどうか」、私はこの基準でもって売れる商品かどうかを判断してい
ます。


■執筆者プロフィール

梅津 政記(うめづ まさき)
株式会社新経営サービス
チーフコンサルタント 中小企業診断士・ITコーディネータ
TEL:075―343―0770
FAX:075―343―4714
e-mail:umedu@skg.co.jp

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