本当の問題点は何か/恩村 政雄

中小企業、特に小企業から

…「受発注システム」を入れたが、ベンダーが言っていた効果がさっぱり出てこない。かえって手間がかかり、社員もいいかげん愛想をつかしている。
IT、ITといって投資させているがこれでは「アッ(I)、イタッ(T)」じゃないか。何とかならないか。

というような類(たぐい)の相談をよく受ける。
相談者である経営者に話しを聞くと、簡単なデモを見せられベンダーの話し(セールスポイント)を鵜のみにし、社外との受発注は電子データでやりとり、電話やFAX受注後の受注伝票発行、面倒くさい転記処理や書類管理はこれでなくなる、と一人合点し、契約もそこそこに済ませ、導入した結果が以上の言葉となっている。

ソフトを開発したり、パッケージを入れたら業務効率はあがり、社員を忙しい部署にシフトでき、利益も増える、という安直な考えの経営者は今もって減らない。
(過去の経験から情報システム導入後のトータル費用は膨らむのが常)「ソフトやパッケージは単なるツール」、経営スタイルの変更や業務改革とワンパックにしないと所期効果は得にくいと、口を酸っぱく説明してもその時は「わかった、わかった」と理解しているようだが、咽喉下過ぎれば何とやら、となる。
ことほどさように、相手を理解させ、行動に移させることは至難の業である。

経営者はソフトやパッケージの不備を訴えていても本当の原因は、手段が目的化していたり、業務手順が確定していないがために、社員間の情報伝達で無用の摩擦を生じ、その結果情報システムの操作手順に齟齬を来たし、ソフトやパッケージが悪者扱いとなるケースをよく見聞きするだけに、ITコーディネータは経営と情報技術の橋渡しとして、両者の知識を深め技能向上を図ると共に、「プレゼンテーション」能力を磨くことが肝要となる。

クレームやトラブルを申し立てる時は、常に自分の立場、利害で物事を判断する、ということを念頭におき、経営者の本音はどこにあるのか、ITのサポート範囲は、ということを相手の立場、相手の言葉で、相手と一緒になって話せることが「効果を出すプレゼンテーション」の第一歩となる。
「プレゼンテーション」というと、すぐ凝ったパワーポイント、詳細な書類作成等々の成果物に目がいき勝ちだが、「相手の心情を推し量る」というメンタル的なノウハウが、中小企業よりITコーディネータに対する信頼を高める一助ともなる。


■執筆者プロフィール

O・B・C・C(onmura・ビジネス・クリエーティブ・コンサルタンツ)
 NPO法人・フランチャイズ情報センター
  恩   村  政   雄
      〒614-8046
         京都府八幡市八幡砂田2-45
            TEL/FAX: 075-981-3830
            Eメール   :obcc.onmura@nifty.com