IT業界に20数年、身をおいている私ですが、ここ数年は開発手法よりもプロジェクトマネージメントに注目があつまっているように思います。SIベンダでは、トラブルが頻発し、業績への影響が少なからずでる要因として「プロジェクトマネジメントの不足」があげられています。従来の、製造業から受け継いだ品質管理手法では、まったく同じものが二つとない、プロジェクト的な業務の改善は難しいといえます。
米国のプロジェクトマネジメント研究機関(PMI)が認定する資格制度のPMPを取得する企業が多くなっていますが、人数だけ増やしてもトラブルが減るわけではありません。トラブルはSIベンダにとって、経営に影響を与えるものですが、ユーザーにとっても、IT投資はシステムを作ることが目的ではなく、ビジネスにいかに貢献できるかが経営者から問われています。
そのような現状で、大手SI各社は、プロジェクトを横断的にみる組織や、既存の品質管理部門などの役割を広げて、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)なるものを設置しています。
PMOとはなにをするのかというと、
- プロジェクトの選別
各プロジェクトについてプライオリティをつけて、社内、協力会社等のリソースの利用効率を最適化する。 - リソースの配分と調整
プロジェクトマネージャーのアサイン、プロジェクト間のリソースの調整、および計画変更時のリソースの確保をする。 - プロジェクトマネジメントの標準化
マネジメントとの実施手順やドキュメントの作成基準を作成し、維持、普及していき、それを運用できる人材の育成を行う。 - 実施のための最適化
進捗報告作成などの事務処理や、PCやツールの作業環境整備、ミーティングの運営を行う。
また、プロジェクトのリスクを評価したり、全社的なリスク対策を策定したりする。
上記のような機能を支援するツールも提供されてきており、プロジェクトの成功をビジネスの成功につなげるべく、PMOの重要性が大きくなっていく傾向にあります。
■執筆者プロフィール
西田 則夫(Nishida Norio)
情報処理プロジェクトマネージャー、ITコーディネータ
マネジメントの経験を顧客満足の向上に役立てたいと思います。
Norio_Nishida@cii.csk.co.jp