総務省発表の情報通信白書や通信利用動向調査によりますと、平成14年度末の中堅・大手企業インターネット利用率は100%に近くに達しているものの、30人未満の企業・事業所での利用率は73%程度に留まっております。
これは、家庭でのインターネット利用率84%を下回っています。
このデータはインターネット利用率だけであり、その他のIT活用全般では、この格差が更に大きくなることは、容易に想像できます。
次に述べますように、本来、IT活用は企業規模の小さいほど有利なのですがあまり認識されていないのかも知れません。
【1】企業規模に比例した投資が可能である。
今やパソコン(パーソナルコンピュータ)は文字通り、1人1台の時代です。
1000人もの従業員のいる会社では1000台のパソコン導入が必要となりますが、従業員が10
名の会社では10台で済みます。
使用するソフトも、利用規模に応じた様々な製品が出揃い、例えば、会計処理ソフトも小規模企業用
なら2万円程度から購入可能ですが、1000名もの企業ではそうは行かないでしょう。
このように、企業規模に比例したIT投資が可能なのです。
パソコンも随分安くなりましたし、インターネット利用料も世界一安いと言われています。
「大企業と違ってIT投資できない。」と嘆くのは認識違いなのです。
【2】小さな会社ほど効果が大きい。
ホームページ上で商品を販売することを例にとりましょう。
お客様がインターネットを介して、ブラウザ(ホームページ閲覧ソフト)で見る画面は、大企業で
あっても個人商店であっても基本的に同じです。
同じ大きさの間口の店舗を持っているのと同じなのです。
仮に、そのホームぺージ上で、商品が一つ売れたとした場合、企業の年間売り上げに対する割合はど
うでしょう。明らかですね。
それ以外でも、例えば作業の効率化によって一人分の作業量が軽減されたら?
などと、いろいろ考えれば、お分かりいただけると思います。
「IT活用の効果が得られない。」との嘆きは、活用方法のピントが外れているのでしょう。
【3】迅速な意思決定を行いやすい。
ITを活用した新ビジネスに素早くチャレンジして上場を果たした企業は何社もあります。急激な社
会環境の変化の中で、如何に迅速な意思決定を行うかは極めて重要な経営課題です。
大企業では、幾重もの権限階層の中で、重要なテーマの意思決定には、稟議・決済のために相応の時
間を要します。企業規模が小さいほど、迅速な判断が可能なはずです。
しかし、今日、その御株は大企業に奪われているようです。
日本企業・事業所数の約8割を占める小規模企業のIT活用は、日本経済の先行きを左右すると言っても過言ではありません。
こうしたことを、あらためて認識していただき、ITを経営活性化の有効な道具としてお役にたてていただきたいと思います。
■執筆者プロフィール
竹内 肇(タケウチ ハジメ)
中小零細企業の経営革新支援・合資会社パンカル 代表
ITコーディネータ、公認システム監査人
ISMS主任審査員、上級システムアドミニストレータ
takeuchi@pangkal.com http://www.pangkal.com/