先日、N社が実施した「IT化の悩み」アンケート結果の記事がありましたので、ご覧になった方も多いと思います。
アンケートでは、経営計画段階からIT戦略立案、開発、運用と多岐にわたって分析されており、各社の状況があからさまになっていて、とても興味深いものでした。
同じ悩みを持たれている方もおられたのではないでしょうか。その記事のなかで取り上げられていたのが、「外部の専門家に依頼すると料金が高い」とか、「社内に経営戦略を立案できる人材がいない」悩みであり、自社システムについては業務改革につながっていないとか、社員の情報リテラシー不足で使いこなしができないというものがありました。
確かにそれぞれが抱えている悩みは一朝一夕には解決しない問題であり、かつ先送りすることもできない課題です。そのため、経営トップが問題解決の方向性や目標を明らかにして会社全体で取り組む必要がありますが、この記事を読んで、改めてIT化の目的とKGIの重要性を感じました。(注1)
情報化は日進月歩であり、次から次へと新しい言葉が生まれてきますので、常に最新の動向を掴んでおきたいところです。今回は、そのIT化のトレンドの1つとして、Webサービスを取り上げます。
最近の景気動向としては消費が堅実になり、少し改善の兆しが見え始めています。またインタネットを利用したいわゆるネット販売が年々増えて続け、もの珍しさがなくなりました。このような状況の中で冷えていた情報化投資も需要拡大が予想されています。
今後ますます電子取引が活発になりWEB技術が欠かせなくなります。情報化投資のキーワードの1つにWEBサービス、とりわけXMLがあります。(注2)
WebサービスとかXMLは、まだなじみがないのでご存知の方は少ないと思いますが、この機会に覚えて下さい。とは言っても技術的なことではなく、何を実現するものなのか、どういう場面で使うのかが理解できれば充分です。
Webサービスという言葉はとても曖昧です。広義ではインターネットを通じて得られるサービスのことを指します。ここでいうサービスとは例えばインターネット書店で本を買う場合などです。
これに対し、狭義ではインターネットを介して、XML形式のデータをやり取りして、業務処理を連携させることを指します。例えば旅費精算をする場合、従来のWebシステムでは運賃表で金額を確認してから自社システムに入力するという2段階になりますが、Webサービスを使うことにより、自社システムから別にあるWebサービスにアクセスして、運賃表の検索結果を取込んで旅費計算を完結させることができます。このように業務処理プログラム自体とそのサービス(機能)の両方をWebサービスと呼びます。つまりXMLデータによる要求を受け、XMLデータを返すことができるプログラムを作ったら「Webサービスを構築した」といいます。
このように情報化は社会の結びつきを大きく変化させます。このためトレンドを知ることは重要であり、自社で取り組む課題かどうかを見極めることは、企業の発展に大きく関わってきます。経営者トップ自身がITのトレンドと情報リテラシーを高めることが大切です。
注1)KGI(Key Goal Indicator)
経営の主要成果目標と、目標を評価するための評価基準のこと。
注2)XML(Extensible Markup Language)
データ構造とデータを同時にもったプログラム言語。これによってコンピュータ間のデータ交換の互換性が高まった。
■執筆者プロフィール
大塚 邦雄
情報処理システム監査、ITコーディネータ
25年にわたるシステム経験をもとにIT化を支援します。
e-mail:kunio920@mbox.kyoto-inet.or.jp