先日、東京ビッグサイト国際会議場で多数の学生を集め、「インターンシップフォーラム2004」なるイベントを2日間にわたって、弊社で開催しました。
「インターンシップ」とはご存知の方もあるでしょうが、「就業体験」と訳されて、3回生の夏休みを中心に1ヶ月くらい企業で実際の就業を体験するものです。
欧米ではノーマルなこのシステムも、日本ではまだ、認知されて3年くらいかもしれません。特に、新卒採用においては、1997年くらいから、インターネットの普及により、大企業を中心として、WEB上からのエントリー制度を導入する企業が急激に増加しました。
加えて、就職情報誌大手のリクルートが、紙媒体から「リクナビ」というWEBサイトへ媒体を切り替え、企業へのエントリーが非常に安易に出来るような、利便性の高いシステムを開発しました。
ここで何が起こったかというと、応募する側は簡便な故に多数のエントリーを行うことにより確率を上げようとし、きちんとした志望動機のないまま、エントリーだけが無数に行われることになりました。また、企業側は、結果的に、従来のハガキやFAXでの応募の10倍くらいの人数を、短時間に対応するはめになってしまいました。
当然のことながら、採用時点のミスマッチは増加し、採用選考に多大の時間とエネルギーを費やすことになりました。決して、WEBからのエントリーが悪いとは思えないが、デジタル技術の進歩が意外なところに影響を与え、弊社のような「採用プロセスのコンサルティング」といったニュービジネスを生むことにも繋がることになりました。
インターンシップは、このような人材採用のミスマッチを解消する方法として3回生の間に希望する企業で1ヶ月程度、擬似就業体験をしてもらって、本当にその企業に向いているのか、その企業での仕事とは何なのか、社員の人はどんなことを考えて働いているのか、といったことを実体験する貴重な機会です。
ここで考えるべきは、人材採用においては、いくらIT技術が進歩・進化しても最後のジャッジは人間が人間を判断することには変わりがなかったということでした。いくら、グループウェアが進歩しても、ERPが普及しても、メールやイントラネットの情報共有ツールが進化しても、所詮それを利用するのは人間だし、情報を提供するのも人間です。よって、ハードやソフトのインフラは整備されても、それを活用する人間側のヒューマンリソースのインフラが整わないと、形はできたけど、魂や理念が入らないシステムが出来上がってしまいます。
ここに、もっと企業のリソースを投下することが重要です。
真剣な学生さんの眼差しと、対応する企業の人事部の方々とのやりとりを聞いていると、本当に人対人が本音で語り合って、そこから何かが生まれるのだなあと思います。こういうことがきちんと出来れば、採用のミスマッチは解消していくこと、間違いないと実感した2日間でした。
■執筆者プロフィール
成岡 秀夫
中小企業診断士/ITコーディネータ/システムアナリスト/上級シスアド
現在は採用コンサルティングの株式会社シンカ取締役
長年の企業経営ボードとしての経験から、経営実務を適格にサポート
京都の地元で「IT経営塾勉強会」という異業種交流会の主宰・代表幹事
東京と京都を東奔西走でJR東海に多大の売上貢献中
生まれる前からの阪神ファン