いつもは、硬いお話が多いこのコラムですが、今回は少し柔らかいお話を。
皆さん、国会図書館関西館には行かれたことがありますか?同じ京都にいながら行ったことがないという方が多いのではないかと思います。
国会図書館は、公立図書館とは違って、書棚には参考図書しかありません。
初めて入った方はここで戸惑われると思います。国会図書館は、地下に大きな書庫があり、そこから必要とする本を取り出してもらってカウンターで借りるというのが基本的な利用方法です。
国会図書館は、居住地に関係なく誰でも利用できます。入館時に、氏名や住所などを登録してICカードを発行してもらいます。館内でのいろいろなサービスはすべてこのカードを利用して行います。たびたび利用する場合には、Myカードを保有することもできます。
さて、ICカードをイコカのようにゲートにあてると入館することができますが、B5サイズよりも大きな大きなかばんは持ち込みできません(ノートパソコンは可)ので、荷物は事前にロッカーに預けます。
美術館のような回廊を抜けると、閲覧室に到着します。ここには、検索端末がたくさんならんでいます。入館時に発行してもらったICカードをカード置きに載せると、検索画面が表示されます。IDやパスワードの入力が不要です。
検索できるのは、関西館だけでなく東京館も含めて、日本でこれまで出版されたすべての本、雑誌(学会誌など)です。
私は、雑誌記事索引というものを良く利用します。その理由は後で述べますが、タイトルにキーワードを入力すると、該当する論文の一覧が表示されます。その論文が掲載されている雑誌が関西館にあることを確認し、貸し出し依頼をかけます。同時に10冊までの書籍をまとめて貸し出し依頼できます。
必要な貸し出し依頼を済ませると閲覧席に移動します。一部最新の雑誌は開架書棚にありますので、それを探して席に戻ると、貸し出しカウンターの大型液晶ディスプレイに自分のICカードの番号が表示されていると書籍が届いています。
貸し出しカウンターに赴いてICカードを渡すと、貸し出し処理をして書籍を借りることができます。
手元に届いた論文の内容を確認し、狙いとする内容が書かれている場合には、コピー依頼をします。
コピーはセルフコピーというのもありますが、時間をうまく使いたいので、当日複写というコピーサービスをよく使います。
コピーの手続きは専用の端末で行います。自分のICカードをカード置きに載せると貸し出し手続きした書籍一覧が表示されますので、コピーしたい書籍のみを選んで、複写依頼票をプリントアウトします。この紙にコピーしたいページを書き、書籍に開始頁と終了頁にしおりにはさんで、複写依頼カウンターに提出します。ここでもICカードを渡して手続きをしてもらいます。
貸し出し手続きを済ませると、4Fのカフェテリアにいって休憩です。ここにも液晶ディスプレイが表示されています。
40分ほどして閲覧席に戻るとコピーが完了しています。複写カウンターで複写料金を支払し、領収書をもらうと完了です。
東京館も利用したことがあるのですが、こちらはとても手間がかかるのですが、関西館は非常に快適です。ぜひ、一度足を運んで見てください。
さて、この国会図書館の蔵書検索ですが、インターネットでも検索可能です。
http://opac.ndl.go.jp/index.html
前述した雑誌記事索引も利用できます。この雑誌記事索引というのは、知識の宝庫です。書籍には書かれていない最新の英知が学会等の論文には記述されています。ですから、私は考えでつまることがあると、まずこの雑誌記事索引で論文検索をします。かならずといっていいほどヒントとなる知識を得ることができます。
インターネットの検索では情報が多すぎ、しかも関係のない情報が多すぎて使えないと思われているなら、ぜひ、国会図書館を利用してみて下さい。
最後に、国会図書館は18歳未満は入館禁止ですが、目の前には学研記念公園があります。土曜日も開館していますので、家族サービス(家族は記念公園散策、自分は国会図書館で資料探し)も兼ねて出かけられるのも良いかと思います。
■執筆者プロフィール
宗平 順己(むねひら としみ)
(株)オージス総研 ソフトウェア工学センター長
ITコーディネータインストラクター、ITコーディネータ
専門分野
・BSC(Balanced Scorecard)
・ABC/ABM
・IT投資評価