今年の夏は、本当に長く厳しかった。
「暑さ寒さも彼岸まで」ということで、このメルマガが発行されるころは随分過ごしやすくなっていることだろうが。
夏の暑さには比較的自信があった私も、「夏バテ状態」を経験した。
このような状態の時は、1本の電話をかけることでさえ、エネルギーがなく「明日に延ばそうか」などと考えてしまいがちになる。
このような時は、何をやっても良い成果が期待できないので、可能な限りの気分転換をはかり、エネルギーを蓄えることにしている。
但し、気分転換のために利用できる時間は限られており、いつもいつも、そうする訳にはいかない。
つまり、日ごろから「夏バテ状態」にならない体力を付けておかなければならないのである。
私の場合はこの夏の反省もあり、週に2回程度スポーツクラブでリフレッシュすることにした。
仕事柄、企業の経営について、相談を持ちかけられることが多い。
経営上の問題について、経営者とともに現状を把握し、内容を分析し、解決方法を見つけていく。
ここまでは、何とかできたとしよう。問題は、ここから先である。
決めたことが、実行できないのである。
つまり、先ほどの「夏バテ状態」である。電話1本が先送りされてしまう。
最初の一歩が踏み出せないのである。
「アクションを起こすのが怖い。」「失敗するかもしれない。」「条件が揃っていない。」などなど理由はさまざまである。
しかし、大事なのは、時間である。
いくら良い解決方法を見つけ出したとしても、それらは時間の経過とともに良い方法ではなくなっていくかもしれないのだ。
また、事態はますます困難な方向に進んでゆくかも知れないのである。
ほぼ3年前に経営不振に陥り、「倒産」という言葉がちらついたA社とB社が
あった。
A社は、今、元気になり活動を続けている。B社は残念ながら今はもう存在しない。
それぞれ前提条件が違うので一概には言えないが、「A社とB社における明らかな違いは対応のスピードにあったのではないだろうか。」と、考えている。
自信がないからじっくり考えてから動こうとする経営者がいる。
だが、実はそれは逆で自分が動くことによって一種の興奮状態が体内に作り出され脳が刺激されて活性化するという。
迷っているならまず動くことが大切だ。まずは、一歩を踏み出す。その一歩が事態を動かし、道を拓いていく。
一度決断したら、実行段階で躊躇している暇はないのである。
では、「夏バテ状態」から脱却するには、どうすればよいだろうか?
前述したように、無理に力を振り絞っても良い成果は得られない。エネルギーが溜まるまで待つしかない。
会社のデスクで頭を抱えているよりは、外に出てみる。電車に乗ってみる。ロ―ドショウを見に行く。新しく出来た商業施設に行ってみる・・・。デスクの前に座っているときに見える景色は静止画だが、動き出すと景色も動き出す。つまり、視点が変わるのである。そのことによって脳が活性化し、体も活力を取り戻すことであろう。
経営者なら、だれでも壁にぶつかった経験は多かれ少なかれお持ちであろう。
以下は、私の愛読書からの引用である。
「悩みは、いつでも、誰にでも、どこにでもあります。しかし、そういう状況の中でも、気分転換を図り、明日への希望と明るさだけは失わないようにしなければなりません。」(『心を高める、経営を伸ばす』稲盛和夫著)
結局、このことが先ほどのA社とB社の明暗を分けたのは言うまでもない。
■執筆者プロフィール
小林由香(Kobayashi Yuka)
小林税理士事務所 所長
税理士、ITコーディネータ、AFP
「お客様の発展のため、最大限の努力をいたします。」が信条。