「最近は、IT化がすすんで、所得税や法人税なんかの申告もパソコンでできちゃうんですね。」
「そうなんです。電子政府実現の一環として、自宅やオフィスなどからインターネットを利用して申告・申請や納税ができます。今年の6月(名古屋地区は2月)からはじまったサービスです。今のところ、所得税、法人税、消費税の申告・申請・届出に利用できます。なお、納税は全ての国税で利用できます。」
「へぇー。税務署まで出向かなくてもよくなったんですか。いつも確定申告の時期は混雑してますから、自宅で出来ちゃうなら助かりますね。」
「はい。このサービスを利用しようとする人は、インターネットを利用できる環境があり、サインや印鑑の代わりになる“電子証明書”を取得して、所轄の税務署に“電子申告・納税等開始(変更等)届出書”を提出しておいてください。」
「事前に準備が必要なんですね。インターネット環境はありますし、税務署への届出はできるとおもいますが、“電子証明書”はどのように取得したらいいんですか?」
「電子認証局といわれるところがいくつかあります。そのうちのいずれかで電子証明書は取得できます。たとえば、市区町村などで交付してくれる“住基カード(ICカード)”などが電子証明書です。」
「所轄の税務署に“電子申告・納税等開始(変更等)届出書”を提出してから1~2カ月後に、利用者識別番号(ID)、(仮)暗証番号及び“e-Taxソフト”のCD-ROMが送られてきます。これらをパソコンへインストールしたり、登録したりしていけば、事前準備の完了です。」
「事前準備に結構、期間が必要ですね。今度の確定申告で利用しようと思ったらそろそろ、準備をはじめた方が良さそうですね。ただ、張り切って、税務署に届出したのはいいけど、いままでのやり方と違うんで、不安になったらどうしようかなあ。」
「大丈夫です。電子申告の事前準備をした方は、いままでのやり方に加えて、電子申告の方法も使えるようになっただけです。提出方法や納税方法の選択技が増えると考えてください。また、電子申告を一部だけ利用してもよいし、今年は電子申告、来年は申告書を税務署に提出でもかまいません。ただし、電子申告をしたら、翌年分の申告書等の用紙は送られてきませんので、注意してください。」
「それから、地方税の電子申告システムも平成17年1月から開始されます。サービスの概要については次のとおりです。」
〔地方税ポータルシステム(eLTAX)〕
これは、地方税における手続きを、インターネットを利用して電子的に行うシステムです。地方税の申告、申請、納税など(以下「申告等」といいます。)の手続きは、それぞれの地方公共団体で行っていただく必要がありましたが、地方公共団体が共同でシステムを運営することにより、電子的な一つの窓口からそれぞれの地方公共団体に手続きできるようになりました。eLTAXは、地方公共団体で組織する「地方税電子化協議会」が運営しています。
〔地方税電子化協議会について〕
地方税電子化協議会(以下「協議会」といいます。)は、地方税に係る電子化の推進と、eLTAXの開発おび安定的な運営を目的として、平成15年8月に設立された団体です。地方税に係る電子化にあたっては、全国3,000余りの多数の地方公共団体が関係することから、次のような点で利用者の利便性向上を図る必要がありました。
(1)システムを標準化して使い方の統一を図る
(2)データ送信先を一元化して複数の地方公共団体に何度も送信する不便を解消する
このため、地方税に係る電子システムは、個々の地方公共団体でそれぞれ開発するのではなく、全国共通システムとして地方公共団体が共同で開発・運用を行うものとしました。
協議会は、この目的を実現するため、地方税の電子化に取り組む全国の地方公共団体および関係団体により運営されております。
(平成16年10月1日現在の運営団体:47都道府県および13政令指定都市)
〔利用開始スケジュール〕
(平成17年1月)eLTAXの利用の届出
(平成17年2月)法人都道府県民税・法人事業税の申告
(平成18年1月)法人市町村民税・固定資産税(償却資産)の申告
地方税に関する申請や届出、電子納税、電子納税証明書などは、順次システム化の予定。
〔電子申告が行える地方公共団体〕
(平成17年1月)岐阜県、大阪府、兵庫県、和歌山県、岡山県、佐賀県
(平成17年8月予定)埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、島根県
(平成18年1月予定)上記以外の都道府県、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市
詳しくは、ホームページでご確認ください。
国税の電子申告(e-Tax) http//www.e-tax.nta.go.jp
地方税の電子申告(eLTAX) http://www.eltax.jp
■執筆者プロフィール
中川 秀夫(なかがわ ひでお)
ITC、税理士、1級FP技能士、不動産コンサルティング技能士
IT投資、経営計画、建設投資、不動産に関する支援業務を展開中。
e-mail:naka.h@dream.com