u-Japanの目指すもの」 新しき社会基盤への取組み/小久保 弘

昨年12月、「u-Japan政策 2010年ユビキタスネット社会の実現に
向けて」の報告書が出ました。新年早々でもあり、その概要の報告と周辺の事例
紹介で、ITコーディネータとしての今後の役割について、チョット述べたいと
思います。

・eからuへ
e-Japan戦略~eーJapan戦略?へとIT国家戦略は進展し、医療、食、
生活、中小企業金融、知、就労、行政サービスの7分野を基本としたIT利活用
の推進へと重点が移って来ました。ブロードバンド環境の進展、インターネット
取引率の大幅な増加等がその現われでしょう。
ITの齎す効果は「新しいサービスの創出、生産性の大幅な向上、地域の活性化
の推進で実現しつつあります。
しかし、日本の抱える社会的課題は2006年以降本格化します。「人口減少と
高齢化(これに関しては同名の本があり、非常に面白く読みました。是非、一読
を)」に伴う様々な問題です。
「ユビキタスネットワーク」の実現とその徹底活用が将来の日本の姿を決める。
これが、大前提となります。

・uーJapanとは
その理念は「基盤性に着目したユビキタス」と「成果に着目した3つU(ユニバ
ーサル、ユーザオリエンテッド、ユニーク)」で構成されます。大きな目標とし
ては、「2010年には世界最先端のICT国家として先導すること」。
基本的には、【1】ブロードバンドからユビキタスネットの実現、【2】情報化
促進から課題解決への実施、【3】利用環境整備の強化の3つを中心に、e-J
apan戦略の延長ではなく、進化発展した新たなる社会の創造となります。

・その実現に向けて
上記の3つの目標を政策パッケージの形で実現して行きます。

【1】シームレスなユビキタスネットワークの整備
有線、無線のシームレスなアクセス環境の整備、実物系ネットワーク(ICタグ、
情報家電等)の確立、ネットワークコラボレーションの基盤整備などを重点的に
構築していきます。
【2】社会課題解決型のICT利活用の高度化
コンテンツの創造・流通・利用促進化、ユニバーサルデザインの導入促進化、
ICT人材活用などの推進を重点的に実施します。
【3】利用環境で普及浸透に伴う不安を解消
ユビキタス社会憲章の制定、優先的に対応すべき課題の抽出と対応策の提示、
「影」に関する課題の整理・明確化などを実施します。

・ユビキタスネット社会におけるICT産業のあり方
「日本の技術基盤の強化」と「社会的に発生する矛盾の解決」と言う二つの役割
を担いながら、その目指すべき方向は「日本発の技術開発と新ビジネス創出との
好循環」を発生させることにあります。
具体的には、【1】通信・放送サービスの融合【2】コンテンツサービスの発展
【3】ユビキタスサービス市場の拡大【4】ICT産業のボーダレス化、グロー
バル化【5】国際的フラッグシップ企業の現出に期待が高まり、2010年には、
87.6兆円の市場規模と予測されます。

・優先的に取り組むべき課題~ユビキタスネット社会「影」の課題抽出
「プライバシーの保護、情報セキュリティの確保など」の10の大分類ごとに、
其々10づつの個別課題を列挙し、合計100課題が提示されています。
我々としても、この課題について、対応すべきアクションとして、大いに認識す
る必要があると思います。
特に、気になる課題について、優先21課題から列記します。
個人情報保護のあり方、情報ネットワーク脆弱性の克服、教育におけるICT利
用の促進、高度なICT人材の不足の解消、電子自治体における格差の解消、医
療におけるICTに利活用の促進、知的財産戦略のあり方などでしょうか。

・身近な事例から思うこと~そして、ITコーディネータとして
報告書の中にも、具体的な生活シーン、企業での利用シーンが描かれていますが、
我々の周辺でも、既に一部実現しているグループもあります。

1)NPOによる無線ネットサービス~みやこネット
京都市内を中心に、数百箇所に無線局を設置し、ネット接続、身障者向け音声サ
ービス、遠隔医療サービス等多彩な活動をしています。セキュリティ確保のため
のVPN化、映像のマルチキャストなど先端的活動は、先行モデルとしての価値
があります。
2)行政サービスの一部をNPOにて実施
高知県では、市民からの問い合わせ業務に対して、分散しているNPOメンバー
がバーチャル型コールセンターとして対応しています。
3)市民塾をeラーニング中心に開催
富山県では、生涯学習、市民講座の積極的拡大をインターネットとeラーニング
の活用により、NPOが中心となり、運営管理を実施しています。

ITコーディネータとしての活動の場は益々、広がっています。
当初の「中小企業活性化」の使命もあるものの、上記事例にありますように、
ICTスキルを持ったメンバーは一層の必要性が高まっていくと思われます。
国家として対応すべきこと、企業として対応すべきこと、は当然あるものの、
「u-Japan」
の実現のポイントは、生活シーンに近いメンバーが如何に、その実現に関与して
いくことではないかと思っています。


■執筆者プロフィール

小久保 弘 ITコーディネータ
富士通ネットワークソリューションズ(株) 京都支店長
幾つかのキャリア関連の会社設立支援、ベンチャとの共同ビジネス化などから
最近は、NPOをベースとした地域活性化への仕掛け作りに取り組み中。

email:kokubo.hiroshi@fnets.fujitsu.com
URL:http://homepage3.nifty.com/khk/

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