ネットワーク時代の著作権について <パート2>/松田 幸之助

東京や大阪の電気街の路上等で、PCソフトの海賊版CD-Rを売っている人を見かける。 また、違法コピーしたCD-RやDVDをインターネットオークションなどで販売する人、最近ではメールで海賊版ソフトの購入を勧誘するものも多くなってきた。
 海賊版を売った人はもちろん、買った人も著作権法違反で罰せられます。 ITの進歩により、PCソフト・映像・音楽などの複製はパソコン1台あれば、比較的簡単に製作し、ネットを介して流通させることが可能になってきている。 とくに、iPodやDVDレコーダなど高性能の録音・録画機器の普及により、素人でも簡単にデジタル複製ができるようになった。
 このような私的録音録画を認めるために私的録音録画補償金制度が実施されているのである。
 デジタル方式の録音・録画機器や記録媒体を購入するときに、数%の(使用)補償金を上乗せて支払っているのである。 法的には、自分の声の録音や自分の子供の発表会以外にこの機器を使っていないことが証明できれば、指定管理団体に対して、その補償金額分の返還を請求できることにはなっているが。
 ただし、複製したものを他人に売却することは、この私的使用の範囲を逸脱するため、著作権の侵害となる。 また、コピープロテクションの回避装置を用いての複製は、たとえそれが私的使用目的であったとしても著作権法違反となる。
 ネットワーク時代に対応するため、著作者のインターネット送信における権利保護を図る目的で、公衆送信権(送信可能化権)が確立されている。(1998年)
 これにより、インターネットのHPに勝手に他人の著作物を転載したり、アップロードし、さらには求めに応じて送信することなどは違法となっている。
次にネットワーク環境下において、問題となりやすい事項について考察します。

 (1)電子メ-ル(e-mail)について
  メ-ルには所有権の移転する対象がないので、その内容の著作権は差出人にある。
 したがって、差出人の同意なしにメールの内容を複製したり、公表することはできない。 また、公衆送信することもできない。

 (2)チャットなどに関して
  チャットも、その内容に創作性が認められれば言語著作物と考えられる。
  言語著作物とは思想または感情が「言語」によって表現されているもので、単なるキャッチフレーズ、標語、スローガンは一般には除外されている。
  チャットの場合、複数の人が交互に言葉を交わしていくものだから、誰が著作者であるかについては問題が起こる。 この場合には、個々の著作物が結合して分離不能となっているので、共同著作物とされることが多いと思う。

 (3)新聞記事やニュースについて
  記事の中の事実は著作権の対象外ですが、新聞記事自体は一般に著作権が認められている。
 記事の内容が事実報道であるとしても、そこには記者の文章表現や編集の工夫がみられ、また事実に対する一定の評価を含む場合も多いと考えられるからである。


■執筆者プロフィール

松田 幸之助(まつだ こうのすけ)
 中小企業診断士、行政書士、宅地建物取引主任等
 e-mail:matuda100@triton.ocn.ne.jp