コストを正しく把握する(その1)/宗平 順己

「商品原価を把握していますか」と訊かれてわからないと答える経営者はまず
いないと思いますが、「その原価情報は正しいですか」といわれると戸惑われる
方は多いと思います。

 商品やサービスに関わるコストは、仕入れ代などの直接コストと一般に販管費
などと呼ばれている間接コストがあります。直接コストは、その商品やサービス
に関わることが明確なコストで、材料原価の他に作業費も含まれます。

 さて、「商品原価」といわれてほとんどの方が思い浮かばれるのが、仕入れ代
や原材料費のことで、作業費も含めて把握できるケースは稀です。それは、従業
員がどの商品やサービスのためにどの作業をどれだけの時間割いたのかを把握で
きていないからです。そのため、原価については、労務費を売上げや生産数量で
割り振りしてしまうというような原価処理が行われてしまいます。さらにあいま
いな処理が行われているのが、販管費です。
 売上げベースで割り振られると、例えば非常に手間がかかっているのに売上げ
が少ない顧客や商品のコストが小さくなってしまい、最悪の場合、大赤字の商品
や顧客を、黒字であるような錯覚を持ってしまいます。
 もちろん、この逆もあり、実際は黒字の商品や顧客を赤字であると判断するこ
ともあります。この状態が継続すると、忙しいのに何故か収益は悪化してしまい
見かけの赤字の商品や事業をカットしてしまったために、事業の継続が困難に
なってしまったという、状況に陥った企業も多々あります。

 このような状態を改善するために考え出されたのが、ABC(Activity Based
Costing:活動基準原価計算)です。
物流業向けには、中小企業庁が「物流ABC」として広めているので、ご存知の
方が多いかもしれません。
 ABCを適用することで、真のコストを把握し、商品間や顧客間、拠点間のコ
ストの発生状況を比較することで、業務改善を行うことが可能になります。
 書籍も多く出ていますし、簡単な計算はEXCELでも可能です(物流ABC
用にEXCELシートが提供されています)。経営改善の第一歩として、ABC
の勉強を始められることをお勧めします。

 ABCはコストがどこで発生しているかを教えてくれます。その2では、コス
トはどこで決定されるのかについてお話したいと考えています。


■執筆者プロフィール

宗平 順己(むねひら としみ)
株式会社オージス総研 ソフトウェア工学センター長
ITコーディネータインストラクター、ITコーディネータ
専門分野
・BSC(Balanced Scorecard)
・ABC/ABM
・ビジネスモデリング
・EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)

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