先般、経済産業省より、企業30万社を対象とした「人材ニーズ調査」の調査結果が公表されました。
今日、終身雇用制度・年功序列制度と言った日本型雇用システムの崩壊に伴い雇用の流動化が進み、企業では中途採用のニーズが高まっています。サービス業建設業、製造業、運輸・通信業などを中心に、平成11年度に比べて84万人増の675万人の人材ニーズの存在が明らかになっています。
特に中小企業においてはこの傾向が顕著であり、中途採用人材ニーズ675万人のうち、従業員数50人未満の中小企業のニーズが86%を占めています。一方で、新規学卒採用を実施している同規模企業は3%程度に過ぎません。
変化の激しい社会環境の中で成長を成し遂げるためには、人材育成に時間をかけられないとか、また、財政面から、教育投資が不要であるといった背景があるものと思います。
しかしながら、中小企業の人材ニーズに対する充足率は53%に留まっており思うように人材確保ができていない現状も示されています。
ここに「需要と供給のミスマッチ」が生じていることがうかがえます。
中途採用で求められる人材像は、建設・土木・情報処理等の技術者や医療・福祉、教員、コンサルタント等の専門職種で、かつ即戦力となり得る能力と経験を持ち合わせている人材となっていますが、年齢別ニーズで見てみると、20代から30代前半が最も高くなっており、若くして能力・経験を有した優秀な人材像を求めるところにも少々無理があるように思います。
いずれにしても、必要な人材確保ができていない現象は、意欲ある成長過程にある中小企業の「業務改善に向けた体制の見直し」や「新事業・新規分野の進出」の阻害要因となっているのではないかと感じています。
企業の知名度、福利厚生の充実度など、大手企業には敵わない部分もありますので、ビジョンを明確にし、採用人材に対する期待や業務の魅力などを如何に伝達するかについて、採用プロセスにおける工夫も必要であると思います。
また、未習熟であっても早期に実戦力となりうる意欲ある人材の確保に向けて能力・経験に関する条件を緩和し、政府が進める、ニート(無業者)やフリーター等の若者を対象に能力開発支援や就職支援を推進する「若年者のためのワンストップサービスセンター(通称ジョブカフェ)」を利用したり、年齢要件を緩和して、「企業等OB人材マッチング地域協議会」を通じて進められている「企業OB人材活用推進事業」(残念ながら京都には協議会窓口が無いようですが)を活用するなども検討に値すると思います。
独立行政法人雇用・能力開発機構が実施する「中小企業労働力確保支援事業」による相談援助や助成金制度も魅力ある支援事業です。
そして、もう一つお勧めしたいものに、公的な中小企業支援機関による専門家派遣制度があります。
各機関には、各種分野の専門家が登録されており、派遣費用1/3を負担することで、希望する登録専門家の助言や支援を受けることができます。この制度についてあまりご存知で無い企業が多いように思います。
アウトソーシング(業務の一部を外部委託したり、派遣社員を活用する等)の有効活用が叫ばれる中で、必要な時、必要な時間だけ専門家の支援を受けたり、新規人材が実戦力を身に着けるまでの期間だけ支援を受けるなど、有効に利用していただきたいと思います。
<参考>京滋の専門家派遣事業を実施している機関
・(財)京都産業21 http://www.ki21.jp/
・(財)京都市中小企業支援センター http://www.kyoto-sien.or.jp/
・(財)滋賀県産業支援プラザ http://www.shigaplaza.or.jp/
日々変化するビジネス環境の中で、即戦力となる中途採用のニーズは益々高まっていくものと思いますが、ただ、頭数を揃えるだけでなく、経営ビジョンに基づいた戦略的人材確保に努めていただきたいと思います。
■執筆者プロフィール
竹内 肇(タケウチ ハジメ)
中小零細企業の経営革新支援・合資会社パンカル 代表
ITコーディネータ、公認システム監査人、ISMS主任審査員
E-mail:takeuchi@pangkal.com http://www.pangkal.com/