●消費者が商品を購買する際の心理プロセスモデルにAIDMA(アイドマ)といわれるモデルがあります。AはAttention(注意)、IはInterest(興味、関心)、DはDesire(欲求)、MはMemory(記憶)、AはAction(行動)の頭文字を取ったもので、われわれが刺激を受けてその商品を買うまでの心理的プロセス表現するアメリカの経済学者ローランド・ホールが提唱(1920年)した仮説です。消費者がどの位置にいるかを明確にすることによって、マーケティング・コミュニケーションのポイントを明確化します。
●消費者としてはいちいちそんなことを意識するわけではないですが、売り手の目線からのマーケティングを成功に導くためのポイントとなります。TVタレントなどを使って商品への興味関心を高め、使ってみたい、欲しいという欲求を熟成させ、マス広告によってブランド名を記憶させ、購入へと導くストーリーです。
●最近ではインターネットの普及により、われわれの購買行動に対する意志決定のやり方にも変化が見られ、AIDMA(アイドマ)の法則にかわってAISAS(アイサス)、さらにはAISCEAS(アイシーズあるいはアイセアス)と呼ばれるモデルが唱えられてきました。
●AISASとはAttention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購買行動)→Share(情報共有)というモデル。その商品に対する「興味」とその「購買行動」の間に「検索」が入り、買った後に「情報の共有」という段階が入れられました。検索と情報共有はネット時代の産物といえるでしょう。
Search(検索)はもちろんネットでの検索、Share(情報共有)は商品購入後の書き込み、口コミなどです。
●AISCEASはAISASのS=Search(検索)とA=Action(購買行動)の間が細分化されC=Copare(比較)、E=Examination(調査)が付け加えられています。
●われわれはなにかモノがほしくなった時、今ではネットを活用して様々な情報を得ることができます。最近私の欲しいモノのひとつにDVD-Recorderがあり、ときどきネットで探ったり、<興味・関心>を惹きつけられています。カカクコム等で調べれば最低可能購入価格を知ることができますし、商品の機能、性能の違いもあきらかに知ることができます。各ブランドを<比較>し、すでに使っている人たちの意見を聞くこともできます。
●グーグルやヤフーなどの“検索”サイトでかなりの詳細な情報に辿りつけ、<調査>することができます。納得し気に入ればその場で、ネットで商品の購入も可能となっています。そしてその商品を購入した後は、自分の意見・感想や評価を書き込んで<情報共有>に参加できます。
●ブログやSNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)などのネットコミュニティが拡大しています。口コミ的なマーケティング手段として企業も注目しだしました。ニフティのブログサイト「ココログ」ではココログコラボとして企業とタイアップしたブランドコミュニティを創っています。
http://collabo.cocolog-nifty.com/
Mixi会員は200万人を超え、企業コミュニティも浸食し始めました。
●TV番組「発掘!あるある大辞典?」である商品が取り上げられると、終了後その商品の検索が急増。
放送と通信の融合があちらこちらから進行しつつある中で、“検索”を切り口として、新たなマーケティングの動きが活発化しています。
■執筆者プロフィール
藤井健志
(株)日商社プロジェクト開発部
1級建築士・中小企業診断士・ITコーディネータ
fujii@nisshosha.co.jp
http://www.nisshosha.co.jp