新会社法施行について/間宮 達二


 平成17年6月29日、第162回国会で「会社法」が成立し、平成18年5月1日に施行
されます。皆様も、「新会社法」として新聞紙上などでお目にしたことがおあり
でしょう。私自身もよくお客様から、改正で「有限会社はどうなるの」、「取締
役の任期は」や「資本金はどうなるの」などのご質問をお受けします。
 そこで、「新会社法」について、その成立の経緯と主な改正点を中小企業の皆
様への影響が大きいと思われる事項を中心にまとめてみます。

●成立の経緯

 これまで会社に関する法律は「商法第2編」、「有限会社法」、「株式会社の
監査等に関する商法の特例に関する法律」(「商法特例法」と呼ばれています。)
など、様々に点在し一本化された法体系ではありませんでした。また、明治32年
に制定された商法、昭和13年に制定された有限会社法は、片仮名文語体表記とな
っており、非常に読みにくいものでした。
 新会社法では、上記2点を改善し会社に関する法律を体系的に一本化し、条文
も平仮名口語体表記とすることにより、慣れない人にも読みやすい法律となりま
す。
 また、新会社法では経済界からの要請で現代の会社実態に合わせた改正が行わ
れ、企業の社会的責任についての関心の高まりから会社機関設定の柔軟化や取締
役の責任明確化などの改正も行われます。

●主な改正点

○有限会社の廃止と会社機関設計の柔軟化
 これまでの会社の種類は、上場会社などの大会社、中小企業である株式会社と
 有限会社に分かれていましたが、実質は大会社と中小企業という2つの類型し
 かありませんでした。そこで、有限会社を廃止し株式会社に一本化したうえ、
 株式会社の会社機関設定を柔軟化することにより、現状の会社実態に合わせる
 改正が行われます。
 現状の株式会社の機関設定は株式会社では、取締役3人以上と監査役1名以上の
 設置義務があり、有限会社では取締役は1人でもよく、監査役の設置は任意と
 されています。これを新会社法においては譲渡制限会社(ほとんどの会社がこ
 れにあたります。)であれば株式会社でも取締役1名以上、監査役についても
 任意設置とし、これまでの有限会社と同じ機関設計ができるようにします。
 つまり、株式会社の機関設計は基本的に1つであったものが中小企業であれば
 「取締役会、監査役、会計監査人、会計参与」の設置の組み合わせにつき10種
 類の中から選択できるようになります。いわば規制緩和のなか会社実態あった
 機関設計ができるようになる反面、自己責任により選択することが求められる
 ようになります。
 
 では現在の有限会社の取り扱いはどうなるのでしょう。既存の有限会社につい
 ては「特例有限会社制度」の適用を受け、引き続き「有限会社」の商号使用が
 認められます。経過措置にて対応されていますが、今のところ存続期間の記述
 はございませんので特に特別な手続きは必要なく引き続き特例有限会社として
 存続できます。会社機関はそのままに株式会社へ組織変更することもできます
 が、有限会社であり続けることのメリットを次にあげておきますので参考にし
 てください。

 ・新会社法が施行されると二度と有限会社は設立できませんので有限会社の商
  号を使用する限り平成18年4月以前に設立された歴史ある会社であることを
  示せる。
 ・引き続き取締役の任期の定めがありませんので登記コストが節約できる。

○取締役・監査役の任期

 いままでは株式会社の取締役の任期は原則として2年、監査役は原則として4年
 でした。ほぼ既存の取締役が重任する中小企業では、2年に1度の登記コスト負
 担は馬鹿にできないものでした。そこで、新会社法においては譲渡制限会社で
 あれば、定款でそれぞれ10年まで伸ばすことがでるようにします。

○設立手続きの簡素化による創業支援

・最低資本金制度を撤廃
 これまでは、最低資本金制度により会社設立に際し株式会社では1,000万円以
 上、有限会社では300万円以上の資本金が必要とされていました。新会社法で
 は、ネットビジネスの拡大と資本金の大小よりも現状の情報開示が重視される
 ような時勢の背景を受け、より容易に会社設立できるよう同制度を撤廃し資本
 金1円でも会社を設立することができるようにします。

・類似商号規制の廃止
 これまでは、類似商号規制というものがあり、同一市町村区内では同じ目的で
 類似した会社の商号を登記することはできませんでした。この類似商号規制を
 撤廃し、会社の目的の文言に対しても柔軟に対応するようにします。

 上記のほかにもさまざまな改正がなされておりますが、その趣旨は会社運営の
 実態への適合と規制緩和による経済活性化を期待する反面、責任の明確化を求
 めているところにあります。今後は自己責任において判断し、社会的責任と企
 業内統治を確保することがわれわれに求められるようになったということで
 しょう。

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■執筆者プロフィール

氏 名 間宮 達二(まみや たつじ)
所 属 ひかりアドバイザーグループ(ひかり経営戦略株式会社)
資 格 ITコーディネータ
お問い合わせ mamiya@hikari-advisor.com
HPアドレス  http://www.hikari-advisor.com

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