中小企業白書2006年版と事業承継/恩村 政雄

 このたび、中小企業経営の有力な指針としての「中小企業白書2006年版」が
発行され、行政、商工会議所、コンサルタント企業等において同書の解説と
これからのとるべき中小企業経営指針のセミナーが多く開催されている。

中小企業白書の副題は、
「時代の節目」に立つ中小企業
 ~海外経済との関係深化・国内における人口減少~

時代の節目に立つ中小企業と位置づけ、将来の明るい展望と、同時に根本的
な課題を提起している。
その内容は、
  第1章:2005年度の中小企業の景気動向
  第2章:企業の開廃業の動き
  第3章:中小企業の金融環境の動き
 と中小企業が抱えている課題を掘り下げ、事例も多く載せており、中小企業
 経営者やステークホルダーにとっても一見に値する白書である。

●中小企業白書の概要
第1章:2005年度の中小企業の景気動向
  大企業に比べれば依然として格差はあるものの、過去からの重しであった
  「設備、債務、雇用」の3つの過剰感の解消に向きつつある。DI指数を
  みると、製造業・卸売業は景況感はよいが、他の業種は低位安定、また、
  地域別では、近畿、関東、中部地区以外は今ひとつで、業種や地域によっ
  てその回復の足取りにはまだら模様がみられる。
  設備投資はキャッシュフロー範囲内での投資額から積極的な投資を指向、
  資金調達も金融機関の貸し出し戦略の変更と相まって増加傾向、と3つの
  過剰感から脱却しつつある。

第2章:企業の開廃業の動き
  開業率は依然として廃業率を下回っているが、開業率の底打ちがみられ上
  昇に転じている。その要因として、女性の自己実現を目指した起業、高齢
  者の持てる能力、ノウハウを第二の人生に活かす起業が顕著となっている。
  しかし、起業は易く、事業は困難といわれるように、起業後の経営活動継
  続では幾多のハードルが待ち構えている。
  一方、廃業率は6.1と依然として高い。その主な原因は、個人事業主が高齢
  化し引退の時期を迎えている、しかし後継者問題等によりその代限り、と
  いうケースが多々生じている。

第3章:中小企業の金融環境の動き
  金融機関自身の財務体質改善活動により、貸し渋り、貸し剥がしが中小企
  業を席捲したが、経営に真剣に取組む中小企業には手を差し伸べるといっ
  た金融機関の戦略、および、社債発行等直接金融ができやすくなる金融環
  境の整備化等により、中小企業の資金調達も多様化しつつある。
  銀行が貸し出しに当って重視する点は、従来の債務償還年数、経常利益率、
  担保保証に加え、市場性、技術力、経営意欲等の指標を重視している。

●中小企業の事業承継について
 経営者の平均年齢は58.5歳(2004年時点)で、55歳以上の経営者が引退したい
 と考えている年齢の平均は65.1歳、高度成長期に大量に創業した世代が現在
 一斉に引退時期にさしかかっているが、「事業承継者がいない」と嘆いてい
 るのが現状である。
 更に、後継者がいないという理由で廃業している企業は毎年7万社以上、この
 結果失われている雇用は20~30万人と地域経済に与える影響は大となっている。
 と、白書は特に中小企業にとって2007年問題(技能承継)より以上に大きな問題
 として内在している事業承継について詳述してある。
 
 このような中、中小企業庁の「事業承継ガイドライン」が注目を集めている。
 このガイドラインは中小企業庁の事業承継協議会(事業承継ガイドライン検討
 委員会)がまとめたもので、
  第1章 事業承継の大切さ
  第2章 中小企業の事業承継に潜む問題点  
  第3章 事業承継計画の必要性
  第4章 事業承継を円滑に進めるためのステップ
  第5章 社会的に経営者をサポートする仕組み
  第6章 おわりに
 の6章から構成されている。
 特に、わが国の中小企業の大半が同族会社であることを重視し、その事業承継
 対策が詳述されている。
 具体的な事業承継対策として、会社法やM&Aの活用、後継者育成、社員抜擢
 等が示されている。

 事業承継は今日考えて明日具体化できるものではない。
 長期的視点で大胆にして緻密な計画性が要求されるだけに、相談相手として中
 小企業診断士、税理士、弁護士、ITコーディネータ等の専門家を利用するの
 も一方法である。
                               (以上)


■執筆者プロフィール

O・B・C・C(経営コンサルタンツ) 主宰
NPO法人ニュービジネス支援センター 理事長
恩 村 政 雄
TEL/FAX: 075-981-3830  京都府八幡市八幡砂田2-45
E-メール: obcc.onmura@nifty.com
URL: http://www.npo-fc.jp

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