●中小企業が、ITを導入するときに困るのは何だろう。
「誰に相談すればいいかわからない」や「今、提案をしているITセールスがどんなレベルかわからない」「このITセールスの話すことを信用していいのだろうか」といったことだろう。
●なぜそう思うのだろうか。
それは社長やあなたの想いが、ITのセールスに伝わらないからだ。
自社をこうしたいという想いはあるが、ITセールスが具体的にしてくれない。
または、「社長には(あなたには)こんなITがいいでしょう」と言って、製品を出してくる。
●さらに、製品の良い点や専門用語ばかり話すので、不安だけが募っていく
●なぜ社長やあなたの想いが、伝わらないのだろうか。
目の前にいるITセールスは、本当に私の会社のことを考えてくれているのだろうか。ソリューションというが、私の会社のことを考えてくれるだけの技量はあるのだろうか。
●これを見極めるためにも、判断基準が必要だろう。この判断基準として、ITスキル標準を使ってみるべきだ。
●では、ITスキル標準とはどんなもだろうか。
ITスキル標準とは、IT企業で働く人が、将来のあるべき姿をあらわしたり、IT業界に勤める個人が自分のキャリアパスを具体的にイメージできるように示した指針である。
●具体的には、IT業界の職種とそれぞれの到達すべきレベルが書かれている。
職種は、セールス、コンサルタント、ITスペシャリスト、オペレーションなど11種類にわかれいる。そしてそれぞれ到達すべきレベルを7段階に分けている。
●ならば、その最高の人が来ているかを判断すればいい。
●今、あなたの会社に訪問しているのは、ITセールスだろう。では、ITセールスとは、どんな職種なのか。
●ITスキル標準に、セールスとは、以下のことをする人と書かれている。
「顧客の経営方針を確認する」
「その実現のための課題解決策の提案をする」
「顧客との良好なリレーションを確立し顧客満足度を高める」
●さらに、アプローチの方法別に3種類に分かれている。
「訪問型コンサルティングセールス」
特定顧客に対して良好なリレーションを開拓、維持、向上し、継続的に販売活動を行う。
「訪問型製品セールス」
特定の製品、サービス、あるいはソリューションに精通し、幅広く顧客に対してその販売活動を行う。
「メディア利用型セールス」
各種のメディアを利用して不特定多数の顧客へアプローチし、主に製品を中心とした販売活動を行う
●この分類から考えると、自社に来てほしいセールスは、「訪問型コンサルティングセールス」「訪問型製品セールス」の2種類である。
●そしてITスキル標準では、レベルが7段階に定義されている。これをわかりやすいように2つに分けると以下のようになる。
中レベル:「製品・サービスを十分を理解し、業界分析や最新技術動向の把握、競合分析ができる」
最上位レベル:「業界、技術動向の先見的見地に基づき、顧客のビジネス戦略を含めて提案できる。」
●今、自社に訪問しているセールスは、どんなタイプか。よく見てみよう。「訪問型コンサルティングセールス」か「訪問型製品セールス」か。
●そして、そのレベルはどのくらいなのか。
業界の分析や競合分析はしているか。製品・サービスだけでなく、最新技術動向をどのように役立つかを話してくれるか。
●いずれにしても、以下のようなことができていてほしい。
・顧客の事業戦略を踏まえたIT戦略を提案できる。
・最適なITソリューションを提供するために、他の企業や職種と連携できる。
・顧客と強い信頼関係を持つ
・セールス知識と経験および関連知識・技術を持つ
・顧客満足を得る事ができる。
●あなたの会社に「訪問型コンサルティングセールス」のタイプが来て、解決してくれるのが一番いい。しかし、時間もお金もかかることが多い。じっくり時間をかけて戦略を考えるときに使うときにはよい。
●「訪問型製品セールス」も、あなたの問題を解決してくれるだろう。
少し、注意しなければならないのは、製品の知識に偏りすぎないかどうかだ。
この場合は、本当に自社の役に立つかをよく考えたり、ITコーディネータに相談をするべきだ。
●中小企業には、「訪問型コンサルティングセールス」のマインドを持ち、「訪問型製品セールス」の提案で、事業戦略を踏まえたIT戦略を提案してくれるのが、コストが低く、早く、一番よいであろう。
●よい人を見抜く目を持つために、ITスキル標準に目を通してみてることをおすすめする。
●もちろんITC京都のメンバーは、「訪問型コンサルティング」ができ、レベルも高いのでご安心を。
■執筆者プロフィール
山口 透(とおる) toruy55@nifty.com
流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、DWHの構築支援などを行っている。ITコーディネータ、システムアナリスト