ワークライフバランスについて/杉村 麻記子

1.ワークライフバランスとは?
 皆さんは、「ワークライフバランス(Work-Life Balance)」という言葉を聴
かれたことはあるでしょうか? 近年OECD や諸外国で提唱されている概念で、
職業生活における各段階において、「仕事」の時間と「生活」の時間(家庭生
活、地域活動、学習等)をさまざまに組み合わせ、調和のとれた働き方ができる
ようにするということです。「仕事と生活の調和」と訳されることもあります。
 1990年代から、少子高齢化が構造的な問題となりその対策の重要な柱として
注目されたのが「仕事と子育ての両立支援」です。また、独身世代にとっても、
心豊かな生活、個人の価値観の変化、多様化などから生活スタイルの変化が見ら
れるようになってきました。さらに日本経済は人口減少局面に移ることとなり、
労働力不足により人材の確保が困難な状況になりました。


2.企業に求められる取り組みとメリット
 これらのことが背景となり、各企業においても「ワークライフバランス」の
視点に立った次世代育成支援への取り組みが求められています。具体的には
以下のような対策が考えられます。

 1)多様で柔軟なワークスタイルの開発
 2)ダイバーシティマネジメント(高齢者や女性、外国人労働者、中途採用等
  の多様性を認め最大限の能力が発揮できるように管理すること)
 3)ワークプレイス(オフィス環境)の質的向上

 企業では上記の対策を講じることにより、「優秀な人材の確保・維持」「従業
員の意欲の向上、生産性の向上」「仕事の内容や進め方の見直し、創造力向上」
などのメリットもあります。さらに、多様性の尊重やワークライフバランスへの
取組は企業の社会的評価を高めことになります。

 それでは、新しいワークスタイルの開発、オフィス環境の質的向上をめざすた
めには何が必要となるのでしょうか? 具体的なポイントを「制度、文化」「オ
フィス環境」の視点から紹介します。


3.組織、制度、企業文化の改革
 オフィスでの長時間拘束時間が前提の制度では、ワークとライフのバランスを
保つことはできません。短時間勤務やテレワーク制度、所定外労働時間の削減、
子供の看護休暇制度などさまざまな対策が必要です。
 また、制度として明文化されていても職場でそういった多様性を認める文化が
なければ、絵に描いた餅に終わってしまいます。代替要員の確保や意識改革のた
めの教育等も重要です。
 一部の大企業では既に制度の整備、企業文化の醸成ができている反面、中堅・
中小企業では様々な制約のため、対応できていないことも多いようです。中小事
業者やベンチャーにとっては、Work=Lifeという側面があるのも事実です。
 私見ですが、慢性的な人手不足に悩んでいる零細企業のほうが、経営者の柔軟
な対応により、多様な勤務形態により女性労働者をうまく活用しているケースも
あるのではと感じています。
 今後は仕事と生活の調和を保つことが企業の成長やイノベーションを促進する
という長期的な視点に立って改革を推進するべきです。


4.オフィス環境(リアル、バーチャル)
 オフィス環境での課題は、セキュリティを確保した形で、利便性の向上、生産
性向上、情報共有やコラボレーション推進、知識創造活動の支援ができるか?と
いったことにあります。
 情報技術(IT)を活用することによって、「距離と時間の短縮」や「コラボ
レーション、ナレッジ共有の推進」が実現できます。ITがワークライフバランス
の推進に果たす役割は非常に大きいです。申し上げるまでもありませんが、ITは
あくまでも手段ですので、目的を見失わないことと、投資とリターンのバランス
をとることが重要です。具体的な活用例は以下の通りです。

 1)コミュニケーション基盤の整備
  ・モバイル、自宅、ホテル等からのリモートアクセス
   (いつでもどこでも仕事ができる)
  ・個人、個体認証基盤や、SSL/VPN環境等によるセキュリティの確保
  ・ワイヤレスネットワークやIP電話によるフリーアドレス
   (固定座席の廃止、プロジェクトや案件単位での座席配置)

 2)情報共有、コラボレーションの支援
  ・グループウェアによる情報共有
  ・社内ポータル、パートナー向けポータル
  ・ファイルサーバー、文書管理
  ・ナレッジベース(ノウハウの蓄積、共有、検索) 等 

 今後は、新しいテクノロジーを活用し、知識創造、ナレッジワークの支援など
が求められることになります。具体的には、「イントラBLOGやイントラメッセン
ジャー」による情報共有、コラボレーションなども想定されます。


5.まとめ
 ワークライフバランスの取り組みを推進するためには、これまで紹介したよう
な企業側の対策だけではなく、働く人(従業員)自身も個人として自立し、コン
トロールできることが求められます。
 皆さんのワークライフバランスはうまく取れていますか? ワークライフバラ
ンス(過労度)チェックをしてくれるサイトもあるようです。一度試してみては
いかがでしょうか?
http://www.stresscare.com/info/wlb.html



■執筆者プロフィール
杉村麻記子(ITコーディネータ・中小企業診断士)
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 勤務
mailto:m.sugimura@nifty.com

 

 

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