IT導入にはデザインセンスが必要だ/山口 透

●小学校4年生の娘に、「最近、気に入っているモノ」をあげてもらった。
「(ニンテンドー)DSのスーパーマリオ(というソフト)」「ハケンの品格(というテレビ番組)」「チューリップ(という音楽)」「インターネットのテレビ」といくつもあがってきた。分類をしてみるとほとんどが「モノ」といいながら、「物体(ハードウェア)」ではなく、「ソフトやコンテンツ」だった。

●振り返ってみると私たちの周りには、物だけでなくソフトやコンテンツやサービスがあふれている。ゲーム、テレビ、音楽、サービスなど、情報社会・サービス社会は当然のように浸透している。

●提供する企業側からみても商品などの「物」だけでなく、サービスと組み合わせて提供することが重要な戦略になっている。たとえば、デジタルカメラメーカは、お客様が撮った写真を、インターネットで閲覧できようなギャラリーを提供している。これにより、お客様同士のコミュニケーションが活発になり、このデジタルカメラの理解や深まることで、さらなる得意客になるのだ。

●だが、これらのサービスは見えないことが多く、提供する側はいかに見えるようにするかということが重要だ。
たとえば、サービスの流れを絵にして見せたり、使っている様子をビデオや動画で見せたり、そしてそのサービスを使うことで、何が変わり、お客様にどのよう利点があるのかを示す必要がある。

●そして、このサービスを効率的に提供するためには、ITを道具として利用することが多い。インターネットやメールや携帯電話は、企業とお客様を結びつける道具となっている。

●企業とお客様を結びつけるためには、お客様に行動を起こしてもらいやすくする必要がある。このためにも、お客様との接点は、視覚に訴え、行動を起こしてもらえるような情報発信をすることが重要だ。

●ITCが関わるIT業界でも、このサービスをいかに見えるようにするかがポイントとなっている。インターネットを使ったWEBサイトを作る場合は、見た目が重要なポイントとなってきている。

●たとえば、自社のサイトの最初に表示されるページで、「我が社は、環境問題を真剣に考えている」という簡単な動画を流しメッセージを提供したり、「我が社の製品を使ったアイデア募集」という絵を目立たせたりして、お客様からの意見をもらうことで製品開発に役立てている例もある。

●これらのWebサイトを構築するうえでは、システムを構築を行うエンジニアとともに、システムの見た目や、お客様と接点や、コミュニケーションの導線計画をたてるデザイナーの参画が必須となってきている。

●もちろん、これらの両面をサポートし、経営に役立てるITCの役割が重要になっているのはいうまでもない。


■執筆者プロフィール

■山口 透(とおる) toruy55@nifty.com

流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、
DWHの構築支援などを行っている。ITコーディネータ、システムアナリスト