実効性ある経営戦略立案の方法2 ~戦略無用論に対する警鐘~/角倉 悟郎

○ 戦略無用論

前回にも述べましたが、通常、トップあるいは企画部門により立案された戦略は
仮説にすぎません。ITC プロセスガイドラインでは、ビジョンから戦略、戦術、
実効計画に至るまで、ウォーターフォール型で整然と企画していくことになって
いますが、実際のプロセスはこの方法では実効性がありません。余程のスーパー
マンでないかぎり、最初に立案した戦略を間違いのなく実効計画に落とし込むこ
とは極めて困難でしょう。そのようなスーパーマンは中小・中堅企業で確保する
ことはさらに困難でしょう。大抵の企業は、上記の方法により戦略立案を行うた
め、結局、成果が出ず机上の空論と化してしまうのです。最悪のケースでは、こ
の経験から戦略無用論が唱えられることになるのです。

○成功体験の功罪

制約理論(TOC)のゴールドラットによれば、最大のボトルネックは物理的制約
ではなく方針制約であるということです。方針制約というのは、企業意思決定に
よる制約であり、この障害が最も困難な課題であるとしています。中小・中堅企
業は、それなりの成功体験をして今の規模になってきています。確かにこれまで
は「成功」だったでしょうが、将来にわたって成功を担保するものではありませ
ん。しかし、これまでの成功体験があるが故に、この成功事例に囚われてしまい
ます。成功体験は紛れもなく最大の方針制約です。特に、中堅企業ではこの傾向
が強いようです。このような戦略の有効性を認めないトップには、実証してみせ
る他ありません。

○パイロットシステムの活用

このための最も有効な方法は、パイロットシステムを作ることです。ITCの皆さ
んはテスト環境によるカンファレンスルームパイロット(CRP)をご存知と思い
ます。この手法を戦略立案にも応用するのです。戦略立案のため、モデル事業や
モデル拠点を設定しパイロット運営します。できれば、新規事業をパイロットと
して行うことで、画期的なビジネスモデルを作りあげることも夢ではありませ
ん。この環境で仮説とした戦略を戦術、施策、実行計画にまで落とし込み検証し
ます。これにより、戦略立案段階では見えなかった課題が見えるようになりま
す。課題が見えればしめたもの、課題解決のプロセスを実行し戦略の見直しを行
います。後は、仮説と検証のプロセスを実効性が担保されるまで繰り返すことで
す。


■執筆者プロフィール

  角倉 悟郎 (すみのくら ごろう)
  ITコーディネータ
  suminokuragoro@ybb.ne.jp


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