政府は平成22年度までに国税関係手続のオンライン利用率を全体の50%とする目標を掲げています。電子申告の普及を促進するため以下のような措置が講じられます。
1.インセンティブ措置
(1)電子申告に係る所得税額の特別控除の創設
電子証明書を取得した個人が平成19年分または平成20年分の所得税の確定申告書提出を各年の翌年3月15日までに電子申告で行った場合には、その年分の所得税額から5,000円が控除されます。(その年分の所得税額が限度となります)ただし、平成19年分で控除の適用を受けた場合には、平成20年分ではこの控除は受けられません。
平成20年1月4日以後に所得税の確定申告書の提出を電子申告で行う場合に適用されます。
(2)処理期間の短縮
電子申告を利用した還付申告書について処理期間が通常の6週間程度から3週間程度に短縮されます。これにより還付金の受取が早くなります。
平成18年11月より実施済み
(3)電子申請等証明書制度の創設
電子申請等を行った旨を証明する手段として、電子申請等証明書制度が創設されます。
平成19年度実施予定
2.税務手続に関する措置
(1)第三者作成の添付書類の送付不要
平成19年分以後の所得税の電子申告における医療費の領収書等(第三者作成書類)については、その記載内容を入力して送信することにより添付を省略することができます。ただし、原則として確定申告期限から3年間は、税務署長からその書類の提出または提示を求められた場合、応じなければなりません。
平成20年1月4日以後に行う平成19年分以後の所得税の電子申告から適用されます。
(平成18年分までは第三者作成書類については提出または提示が必要だったため、申告書提出を電子申告で行った後、郵送等する必要がありました)
(2)源泉徴収票等の電子交付の対象書類が追加
源泉徴収義務者が納税者に電子交付できる対象書類の範囲に下記の書類が追加されます。
・公的年金等の源泉徴収票及び支払明細書
・退職所得の源泉徴収票及び支払明細書
・オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
・配当等とみなす金額に関する支払通知書
平成20年1月1日以後に交付するものから適用されます。
(3)源泉徴収関係書類の電子提出が可能に
給与等、退職手当等または公的年金等の支払を受ける人は、税務署長の承認を受けた給与等の支払者に対して、下記の源泉徴収関係書類を書面に代え、電磁的方法で提出できます。
・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
・給与所得者の配偶者特別控除申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・退職所得の受給に関する申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
税務署長の承認を受けた給与等の支払者に対して、平成19年7月1日以後に提出する源泉徴収関係書類から適用されます。
(4)電子署名
下記に該当する納税者本人の電子署名及びその電子証明書の送信は必要なくなります。
1) 税理士等が依頼を受けて税務書類を作成し、依頼者に代わって電子申告を行う場合のその依頼者
2) 源泉所得税の徴収高計算書の送信を行う者
3) 税務署に来署した納税者の本人確認を前提に、税務署の端末を利用して電子申告を行う者
適用時期は1)、2)については平成19年1月4日以後、3)については平成20年1月4日以後の電子送信による申請等からとなります。
■執筆者プロフィール
竹内政明(たけうち まさあき)
竹内政明税理士事務所
代表 税理士・ITコーディネータ
(TKC全国会会員・電子申告、書面添付推進事務所)
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