二足歩行のロボットがちまたに現れてきて、介護ロボット、レスキューロボットなるものが実用化されようとしています。わが愛する鉄人28号も愛知県の大学で毎年1号ずつ進化をとげて28号に近づいていると聞いている。
子供のころ、「新造人間キャシャーン」というアニメで、人間を支配しようとするロボットに立ち向かう主人公をえがいていた。これは、ロボットがロボットを大量生産して、人間を攻撃してくるストーリーです。あるとき、後輩と、ソフトウェアの不具合の談義になった時、前期のアニメでは、最初のロボットを作ったのは、人間だから、人間はミスを犯すものであるから、そのロボットに不具合があって、そのロボットからつくられるロボットにまた新たな不具合が発生して、その繰り返しが、最終的に人間を支配するロボットができてしまったのではないかとう、とるに足らない話をしました。
昨今、皆さんが一番手じかにふれているもの、たとえば携帯電話の高度化には目をみはるものがあります。かつての、ホストコンピューター並みのステップ数のプログラムがあの小さな筐体とじこめられて、パソコンなみの性能を提供しています。
このようなソフトウェアのことを組み込みシステムと呼んでいますが、携帯電話だけでなくディジタルカメラ,プリンタなど,多くの身近な機器にはコンピュータが組み込まれています。
不具合のないシステムを作るための品質向上の方法として、一般には、テスト工程をわけて(単体テスト→連結テスト→システムテスト)精度を上げています。
ただ、組み込みシステムの場合、高機能化、複雑化しているが、この工程は、技術者の経験と勘にたよるやり方が多いようです。ソフトウェアの不具合は、前述の単体テストの工程で抑えることができれば、改修にかかるコストが抑えることができます。しかし、組み込みシステムの場合、実機上(ソフトウェアが動作するハードウェア)でのテストに重点がおかれているようです。
いままでは、それほど規模の大きくないソフトウェアが対象で、技術者の力量で、テストツールなどを活用して、製品化してきましたが、機能が高くなり、それに伴い複雑化している今のソフトウェアでは、従来の方法では、不具合を検出することが困難になっています。
若干、古いデータですが、IPA SEC 調査によると、1990年~2000年の10年でオブジェクトサイズは、以下の通り増加しています。
・ 携帯電話で200KB→10MB
・ テレビで1MB→20MB
・ カーナビで2MB→50MB
規模が増加傾向のソフトウェアの不具合を解決するための、組み込みシステムのソフトウェア開発技法や、ソフトウェアマネジメントが、体系化されてきています。社内の基幹業務システムの不具合とはちがって、以前の携帯電話の不具合のように、何万人にも影響することもありえるため、製品を提供するメーカーとしては、そのリスクを考慮しておく必要があります。
そのためには、人材の育成はもとより、蓄積されたソフトウェア資産を知的財産として蓄えて共有していくことが必要と思われます。
■執筆者プロフィール
西田 則夫(Nishida Norio)
情報処理プロジェクトマネージャー、ITコーディネータ
マネジメントの経験を顧客満足の向上に役立てたいと思います。
Norio.Nishida@csk.com