賭け事をするときの人間の理性と感情/松田 幸之助

 昨今、サブプライム・ローン問題に対応した米国FRBの金利低下策等により、
日本の株価も乱高下している。株のことはよく判りませんが、先行き不透明な状
況です。相場のプロにはチャンスでしょうが、素人は手を出さないほうが無難で
あると思います。ある行動経済学の学者は、「人が利益を受ける場合はリスクを
避けようとし、損失を被る場合はリスクをとろうとする傾向がある」と人間の行
動を分析した。そのもととなった質問は「あなたなら、次のaとbのどちらを選
ぶか」というものである。

<質問1> a.80万円貰える
      b.100万円貰えるが、15%の確率で貰えないことがある。

<質問2> a.80万円支払う
      b.100万円支払うのだが、15%の確率で払わなくてもよい

上記の質問に対し、たいていの人は<質問1>でaを選び、<質問2>ではbを
選ぶという。相場格言の「損切りは早く、利は伸ばせ」の逆をいっているのであ
る。数学的期待値からは<質問1>ではb(+85万円)、<質問2>ではa
(-80万円)を選ぶほうが合理的である。人は概ね理性的に行動することにな
っているが、現実の意志決定は異なる。経済は「感情」で動いていることが多い
といっても過言ではない。

 また、次の状況ではどうだろう。「巨人阪神戦を見にいったが、入り口で入場
券(1万円)の紛失に気がついた」この場合多くの人がチケットを買って入場す
る。ところが「既に買っていた1万円の前売券を紛失したのに気がついていた」
場合は巨人阪神戦の観戦は諦めるのではなかろうか。チケット紛失という事態に
対して、別の行動をとってしまうのである。人はいつも理性で行動するのではな
く、感情で動くことが多い。相場で損切りができずに、含み損が膨らむのも同じ
ような理由からである。次の質問で、あなたはC,Dのクジの中でどちらのクジ
を選びますか。

<Cクジ>90%の確率で1000万円が当たる(10%の確率で何もナシ)
<Dクジ>50%の確率で2000万円が当たる(50の確率で何もナシ)

 それでは、私の好きな勝負事について考えてみよう。 たとえば、競馬の勝馬
投票券が当たったとき、「なんて推理がうまいんだろう~」とか「さすが自分の
才能は~」とか思えて有頂天になる。馬券が外れたときは「運が悪かった~」と
か「狙いは良かったのに~騎手が下手だった」とか他の要因にしてしまう傾向が
ある。人はどうもうまく行くと「自分の能力が高い」と内的な要因のせいにし、
うまく行かないと「運が悪かった」とか「あまりにも難題であった」などと他の
せい、つまり外的な要因にすり替えるようである。また、賭け事において「ビギ
ナーズラック」という言葉があるが、初めて勝負するときは、「欲や恐れ」をあ
まり感じずに行うことができるのに、回を重ねるうちに「欲と恐れ」にふりまわ
され、なかなか良い結果がでなくなってしまうことが多い。

 人間は「考える葦である」とも言われますが、本当に「欲の深い動物である」
と思う。



■執筆者プロフィール

中小企業診断士・行政書士 松田幸之助 


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