インターネット広告の最近の動向/藤井 健志

 「自転車通勤」と打ち込み、クリックするとウェブ検索結果がずっと並んで、
その右にスポンサ-サイトとして関連した通販サイトなどの広告が8つ並んだ。
長年乗り慣れた愛車がかなり痛んできたので、買い換えようと思ってヤフーで検
索した。右側に表示されたのはいわゆる検索連動型広告である。

■日本の広告市場規模とネット広告市場
 2006年(平成18年)の総広告費は5兆9954億円、対前年比100.6%となり、3年
連続の増加となった。この10年間ほど、広告費は景気に連動しGDPの1%強の割合
で推移しており、その比率はほとんど変わっていない。
 一方、インターネット広告費は、平成16年/1814億円、平成17年/2808億円、
平成18年/3630億円と対前年比154.8%、129.3%とブロードバンドの普及ととも
に大きく伸びてきている。       (出所:電通「日本の広告費」より)
 2006年(平成18年)のインターネット広告費3630億円という数字は、広告費全
体の 6%と新聞やテレビにはまだまだ及ばないが、2004年にラジオを抜き、今年
雑誌を抜くのは確実とされている。

■ネット広告の種類
 ネット広告といえば、かってはホームページにバナーを貼ってそこから各企業
のホームページへと誘導する「バナー広告」が主流であったが、いまやその手法
は飛躍的に増えてきた。
・インターネットのeメール機能を使ってテキストやhtmlの広告を配信する、プ
ッシュ型の「メール広告」
・パソコン性能の向上やブロードバンドの普及に伴って増えてきた動画や音声を
使用した「リッチメディア広告」
・検索エンジンでの検索結果画面で、指定したキーワードの場合にのみテキスト
広告を表示する「リスティング広告(検索連動型広告)」
・ウェブページの内容に即した広告を自動的に配信する、「コンテンツ連動型広
告」~特定のページを閲覧するユーザーに対して、そのページと関連性の高い広
告を配信する。
・さらに個人の WEBサイトやブログ等が増えるに従って、企業サイトへリンクを
張りそのサイトで商品を購入したりすると報酬が支払われる成果保証型広告の
「アフィリエイト」(affiliate =合併・提携する)
それ以外にも、ポッドキャスト、ビデオ共有サイト、さらにセカンドライフなど
への広告配信など、これからもまたさまざまな新しいメディア・手法が生み出さ
れて行くであろう。

■ネット広告の強み
 ネットの強みとして、広告主と消費者の双方向のコミュニケーションが取りや
すいと言う点が存在する。消費者あるいは生活者を巻き込んだ企業の試みもあち
こちで散見される。新商品開発にその声を聞いたり、あるいは一緒にコラボレー
ションしたり、 SNSでコミュニティを形成することもある。マスメディアとちが
い、受け取るための時間やその情報量に制限はない。有料の限られたスペースし
か情報発信できないというのではなく、作ろうと思えば無限の情報スペースが作
れるのである。
 またマスメディア広告の効果測定が線的に把握するのが困難であるのに対し、
ネットではその履歴や購入記録が明確に把握でき、その結果を検証し、次の計画
に有効活用できる。

■モバイル広告の拡大
 もう一つ注目すべきは、モバイル広告である。携帯キャリアのトップページに
検索機能が相次いで採用された。 先に述べたリスティング広告(検索連動型広
告)へと広告の市場は広がった。この 4月にはヤフーによるオーバーチュア日本
法人が子会社化され、ソフトバンクがYahoo!ケータイ、KDDIがGoogle、ドコモも
複数の検索事業者と提携し、モバイル向け検索連動型広告が開始された。いまや
ほとんどの人が身につけ、常に持ち歩くケータイ。定額料金制の広がりとともに
モバイル広告の市場は加速していくのはまちがいない。

■今後注目される P4P広告、行動ターゲティング広告
 検索連動型広告とコンテンツ連動型広告をあわせて、P4P(=Pay for
Performance)と呼ばれているが、オーバーチュアは検索連動型広告およびコン
テンツ連動型広告を配信するプラットフォームに新しい機能を追加した。地域属
性に絞り込んだ広告を配信できる「地域ターゲティング」機能、一つのキーワー
ドに対して複数の広告をローテーションで表示してクリック率を比較したり、そ
れらの中から最もクリック率の高い広告を重点的に表示したりできる「広告テス
ト/表示最適化機能」などが追加され、従来の入札価格に加えてクリック率やそ
の他の関連要素で決まる広告品質も掲載の順位に影響するようになった。
 ヤフーは6月に行動ターゲティング広告のメニューの拡充を発表した。行動タ
ーゲティング広告とは、インターネットの利用者がどのようなことに対して関心
をもっているか、これまでの閲覧ホームページなどの情報を基に分析し、それに
よって個人の好みに合った広告を配信する手法だが、従来個別に提供してきた、
属性別広告、地域別広告、行動ターゲティング広告を、それぞれクロスできるよ
うにした。個人的には自分の行動履歴が他者にかなりのところまで把握されるの
はいい気持ちがしないが、世の中の風潮は大分許容度が広がってきているようだ。


■まとめ
 テレビや新聞をはじめ、マス媒体の力はまだまだ大きいが、いま「続きは WEB
で」に代表されるように、それぞれのメディアがその利点を活かしてクロスメデ
ィア(新聞、テレビ、雑誌、ネットなどさまざまなメディアを組合せて最大の広
告効果を得る)という対応で広告が展開されつつある。また一方でより効率的な
広告効果を狙って、 P4Pと呼ばれるような検索連動型、コンテンツ連動型の広
告が、注目を集めている。ターゲットを絞り込んで、ユーザーの行動に合致した
広告がより的確に発信できるようになってきた。この分野はモバイルも含めて、
大きく成長しようとしている。


■執筆者プロフィール

藤井健志
勤務先:株式会社日商社
ITコーディネータ・中小企業診断士・一級建築士
fujii@nisshosha.co.jp


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