中小企業とは何か?!/藤原 正樹

 このテーマを見て、何をいまさらと思われた方も多いと思います。
ところが最近、中小企業という言葉について、いろいろな見方があることに気づ
きました。今回は、中小企業とは何かという本源的な問いかけを出発点に、中小
企業の可能性を探っていきたいと思います。中小企業だからこそ出来ることを示
したいと思います。

●中小企業の見方いろいろ

 中小企業の定義は、と聞かれたら中小企業庁の定義を答える方が多いと思いま
す。製造業では資本金1億円以下、従業員300人以下、小売業では・・・という
ものです。ところがこの定義は、日本にだけ通じる定義です。中国の中小企業の
定義は、従業員2000人以下となっています。大国らしいおおらかな定義ですね。
EUでは、従業員数や資本金の額だけでなく、「大企業の子会社でないこと」な
どが定義されています。米国では、「当該事業分野で支配的でないこと」などの
定義が追加されています。日本の中小企業で世界シェアXX%という”小さな大
企業”は、中小企業ではないことになりますね。

 このように、中小企業と一言で言ってもいろいろな定義があります。定義だけ
でなく、人によって中小企業という言葉のうけとりかたは異なります。筆者が経
験した例を紹介します。上場企業の経営者のかたから「弊社のような中小企業で
は・・・」という謙遜された言い方を聞くことがあります。また、打ち合わせの
中で中小企業という表現を使うと「うちは中小企業ではない・・・」とむっとし
て言われる経営者の方もおられます。定義だけでなく、中小企業という言葉のう
けとりかたも違うようです。

●中小企業と大企業

 中小企業に相対する用語は大企業です。それでは、大企業と中小企業はどう異
なるのでしょうか?それは、企業規模だけでは説明できないと思います。
 このように中小企業の定義にこだわるのは、中小企業の役割をはっきりさせた
いからです。「中小企業でも出来ること」と「中小企業だからこそ出来ること」
では大きな違いがあります。
 一般的に中小企業は、「経営組織が未成熟である」「資金力、人材が不足」な
どマイナス面が強調されがちですが、「経営行動が迅速で、柔軟性に富んでいる」
「環境変化への対応が柔軟である」「特定の分野では、特徴のある経営資源を有
している」などの中小企業ならではの強みも有しています。
 中小企業というとその弱みがクローズアップされがちですが、その強みにフォ
ーカスして考えると、中小企業の持つ可能性・産業社会での役割が見えてきます。

●中小企業にとってのITの役割

 中小企業におけるIT活用の目的は、個別業務の省力化からはじまり、情報共有、
さらに、新規ビジネスの開拓、経営革新への活用へと拡大しています。経営戦略
を推進していく上で、ITは重要な役割を果たすようになっていることは多言を待
たないでしょう。
 中小企業におけるIT活用は、経営資源の不足を補完し、強みを生かしていくた
めに推進する必要があります。例えば、インターネットがその役割を果たしてい
ると言えば異論はないでしょう。インターネットを活用した中小企業の企業間連
携、新たなビジネスモデル創出の例は多く紹介されています。
 ところが、競争戦略論で著名なM.ポーターによれば、インターネットは競争の
激化をもたらしただけだとなります。果たしてそうでしょうか?大企業において
は当てはまるかも知れません。一般に、ネット上の新ビジネスモデルは模倣が容
易だと言われています。競争上の優位が実現できたとしても、それは一時的なも
のに終わるというものです。競合他社と同じような製品・サービスしか持ってな
いとしたら、確かに優位性は一時的なものになるでしょう。
 インターネットを活用した企業間連携で成功している中小企業の例を見れば、
少し様子は違うように思います。中小企業単独では優位性を発揮できなかった経
営資源が、連携することにより優位性を発揮している例は多くあります。このよ
うな連携を実現するには、経営者自らが一歩踏み出さなければならないことは前
提です。加えて、インターネットなどITの活用無くして有効に機能しないことも
事実でしょう。

参考文献
植田浩史:現代日本の中小企業 (岩波書店)
M.ポーター:戦略の本質は変わらない(DIAMONDハーバードビジネスレビュー)



■執筆者プロフィール

藤原正樹(フジワラマサキ)
中小企業診断士 公認情報システム監査人(CISA)
e-mail:masaki_fujiwara@nifty.com


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