リースに関する会計上・税務上の取扱い変更について/間宮 達二

 経営者の皆様からIT投資の場面で、自己資金で調達するべきなのか、リースを
活用すべきなのかよくご相談いただきます。双方メリット・デメリットがあった
のですが、リースに関する会計上・税務上の取り扱いが改正されたことで、また
変化がありました。
 そこで、リースに関する会計上・税務上の改正事項を確認するとともに、改正
後のリース活用のメリット・デメリットをまとめてみました。今後、固定資産取
得方法選択の参考となれば幸いです。

◆改正の要旨と適正な財務諸表開示要請
 これまでのファイナンス・リース契約は、融資を受けてその資金で資産を購入
する行為と実質的にあまり差異はありませんでした。しかし、従来であれば所有
権移転外ファイナンス・リース契約は、賃貸借処理(期間費用処理)を選択でき
たため、リース資産は貸借対照表に表示されていませんでした。
 しかし、今回の改正により所有権移転外ファイナンス・リース契約についても
売買取引に準じた会計処理に一本化されることになり、事業資産が貸借対照表に
表現されオンバランス化することとなります。
 これは今まで、投資家の立場からすると、会社の資産が貸借対照表に表現され
ておらずオフバランスとなっており財務分析ができない状態でした。グローバル
化が進み、海外で資金調達を行う機会が多くなった日本企業に対して、国際基準
と同等の会計基準による財務諸表開示を求める要請が強くなったことが改正の要
因の一つです。
今回の改正により全ての事業用資産と、取得に伴う債務についても財務諸表に開
示されるため、財務内容の実態がより明確になります。
 ※ファイナンス・リース取引とは
  リース契約に基づくリース期間の中途において当該リース契約を解除するこ
とができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基
づき使用する物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、
かつ、当該物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担する取引。
 ※所有権移転外ファイナンス・リース取引とは
  ファイナンス・リース取引はリース契約上の諸条件に照らしてリース物件の
所有権が借手に移転すると認められるものとそれ以外の取引に分類されます。前
者を「所有権移転ファイナンス・リース取引」、後者を「所有権移転外ファイナ
ンス・リース取引」という。

◆適用は平成20年4月1日から

 平成19年3月30日、企業会計基準委員会は、「リース取引に関する会計基準」と
「リース取引に関する会計基準の適用指針」を公表しました。そして、この会計
基準の導入に合わせる形で平成19年度税制改正により税務上もリース取引に関す
る取扱いが変更されました。
新しい会計基準は原則として平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用さ
れ、新リース税制は平成20年4月1日以後に締結されるリース取引から適用されま
す。
 わが国におけるリース契約のほとんどが、今回改正の対象となった「所有権移
転外ファイナンス・リース契約」に該当しますので、ご注意ください。
 
◆中小企業の対応

新しい会計基準では、ファイナンス・リース取引は通常の売買取引に準じた会計
処理に一本化されることになり、従来、所有権移転外ファイナンス・リース取引
に認められていた賃貸借取引に準じた会計処理は廃止となりました。
 これは、ファイナンス・リース契約により固定資産を取得した場合は「購入」
をした場合と同様に取扱うことを意味しています。ただし、リース期間が1年以内
またはリース料総額が300万円以下のリース資産については賃貸借取引に準じた会
計処理が可能とされています。また、中小企業は「中小企業の会計に関する指針」
に準拠することになりますので、現時点で未公表ですが賃貸借取引に準じた会計
処理が容認される可能性が残されています。
 そして、会計基準の変更を受けて税務上も売買取引として取扱うことに限定さ
れました。なお、オペレーティング・リース取引は従来どおり賃貸借取引に準じ
た会計処理・税務処理を行いますので、混同しないようご注意ください。
 ※オペレーティング・リース取引とは
  ファイナンス・リース取引以外のリース取引。

◆リース活用によるメリットの改正前後比較

改正前のメリット
(1)購入に比べ、設備投資に係る多額の資金調達を必要としない。
(2)購入手続、固定資産税の納付、廃棄手続等の所有に伴う経費・手間の省力化が
 図れる。
(3)賃貸借処理することで、貸借対照表のスリム化につながる。
(4)リース料が全額費用処理できることから、リース期間を法定耐用年数より短く
 設定することによって費用の早期計上のメリットを受けられる。

改正後のメリットの変化(上記番号に対応)
(1)メリットは維持。
(2)減価償却などの新たな事務負担増で、効果が減殺される。
(3)メリットが消滅するだけでなく、リース債務のオンバランス化で財務比率が悪
 化。
(4)改正により売買と準じた会計処理となるが、毎年の費用化される金額に差はな
 くなり費用の早期計上のメリットは残る。ただし、最近の改正減価償却方法に
 より自己資金による取得にて減価償却する方が早期に費用化されるケースがあ
 る。

 改正後のリース活用の変化を理解した上で、皆様の会社にあった調達方法を選
択されることをおすすめいたします。より詳細に知りたいという方は、弊社グル
ープ「ひかり監査法人、ひかり税理士法人」(共編)の「借手のための新しいリ
ース会計と税務50問50問」(清文社)をご参照いただくと詳しく解説しております。



■執筆者プロフィール

氏 名 間宮 達二(まみや たつじ)
所 属 ひかりアドバイザーグループ(ひかり経営戦略株式会社)
資 格 ITコーディネータ
お問い合わせ mamiya@hikari-advisor.com
HPアドレス  http://www.hikari-advisor.com
21世紀に羽ばたく「あるべき姿」の実現に向け、お客様の羅針盤として真の経
営改革支援と、事業リスク分野における情報提供、将来に向けての対応策をご提
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◆技術経営(MOT)、FAシステム、製造実行システム(MES)、
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