今日は、育児休暇中に日々感じていることを通してセルフマネジメントについて少し書いてみたいと思います。子育ての現場で日々何度も遭遇することを取り上げています。子育ては既に一段落された方も多いと思いますが、そういえばそんなこともあったかなあ・・・とお読みいただければ幸いです。
「急がば回れ」
急いでいるときに限って子供がぐずり出すのはなぜ?
パソコンを前にメールのチェックをしようとすると、寝ていたはずの子供が「ふぇーん」と声をあげてぐずり出しました。すやすや寝ていたはずなのに・・・。
母親の意識が自分から離れていることを敏感に察知しているかのように、何かしようとするとぐずり出す子供。夕飯の準備を始めたら、掃除をしようと思ったら、こんなことは日々何度もある話です。
こんなときあなただったらどうしますか?
私が経験したパターンを以下4つ列挙します。
(1)急ぎの用件があるのでぐずぐず言っている子供をそのままにしてメールの返事を書く。
(2)「○○ちゃん、ちょっと待っててね」などと声をかけながらメールの返事を書く。
(3)子供のところへ行き背中をトントンするなど、とりあえず相手をしながら寝かしつけようとする。
(4)子供を抱っこして、しばらく相手をする。子供が起きてしまったようなら一緒に遊ぶ。
そして、それぞれのパターンの結果は以下でした。
(1)の場合は、ちょっとぐずっていただけの子供が放って置かれたことで泣き出し、さらに放って置くと泣かせすぎて声がかすれてしまうほどの大泣きになり、すっかり気持ちがこじれてしまいます。こうなると機嫌を戻すのにかなりの時間を要することに・・・。最悪のパターンです。
(2)の場合は、待たせる時間にもよりますが、大人の「ちょっと」と子供の「ちょっと」は時間の長さが違うため、下手をすると待たせすぎてしまい、(1)のパターンになる可能性大!です。
(3)とりあえずの対応だということがバレバレで、母親の気持ちがせかせかしていることを子供が敏感に感じてしまった場合などは、やはり泣き出してしまうことも。そうなると長くぐずるパターンです。
(4)メールチェックのことは一旦忘れ、子供に気持ちを向け抱っこをして子供と呼吸を合わせます。「どうしたの?」などと話しかけぐずっていた原因を探ります。ミルク、オムツ、などの物理的原因を解決しても機嫌が回復しない場足はしばらく遊び、気分転換できるようにします。すると、いつの間にか機嫌が良くなり一人遊びを始め、そのまましばらくは一人で機嫌良く遊びます。そうなると、落ち着いてメールの返事を書くことができるのです。時間がかかるように見えて実は(4)が一番お互い心穏やかであり、時間も短くて済むようです。
仕事をしていても同じようなことはありませんか?
急いでいるときに限って、電話がかかってくる、急な来客がある、別の用事を頼まれる、何かを尋ねられる、パソコンの調子が悪くなる・・・
そんな時どうされていますか?
・電話対応がちょっと適当になってしまう。場合によっては、いま忙しいのでと切ってしまう。
・急な来客には相手を聞いて場合によっては居留守を使う。
・尋ねられたことが面倒な要件のときは「良くわからないなあ、○○さんに聞いてみたら」と人に振ってしまう。
・用事を頼まれるときには、説明された内容が良くわかっていなくても「はい、わかりました!」とその場をやりすごす。
・調子の悪いパソコンを前にイライラ、表示されたメッセージを良く見ずにエンターキーを何度もたたいて大切なファイルを消してしまう、あれこれいじっていて状況が悪化してしまう。
育児の場合は、(4)のパターンを選ばれた方も、仕事上では(1)(2)(3)のようなとりあえずの対処をしている場合もあるのではないでしょうか・・・。
その場はやり過ごせても、相手に与えた印象などが原因で、後々何らかの形で自分に返ってくるのではないでしょうか。また、イライラが増してしまい、やっていた仕事も捗らない、集中力が低下しミスをしてしまうなど、あれもこれも中途半端な状況になってしまうのではないでしょうか。
頭ではわかってはいること、当たり前のことも、状況によってはできないことがあります。セルフマネジメントを意識することで、常に(4)のパターン、つまりは相手ときちんと向き合った対応ができるようになれば、イライラしてミスをすることも減るでしょうし、とりあえずの対処で印象を悪くすることもないでしょうし、第一自分の気持ちを穏やかに保つことができ、仕事も捗るのではないしょうか。
そんなことはわかっているけれども、急いでいる時などはなかなかそうもいかないものですね。そこで、私は仕事でも育児でも(4)のパターンができるように、「タスクリスト」を活用しています。
「タスクリスト」
これは私にとって、日に何度も、何かをやっている手を止めて子供の相手をする中で、穏やかに時間を過ごすために重要な存在です。
タスクリストと言っても大げさなものではなく、今日、絶対にやるべきこと!だけを紙に書いて机の上に常に目に付くように置いておくだけです。
今日、絶対にやるべきこと!はメモに向かっていきなり書き出したものではありません。日々、「あ!あれしなきゃ」「あ!○○買っておかなきゃ」「○○しておいて」と、やることが発生する都度にメモに書き留めていきます。そして毎日ちょっとした時間に、書きたまった内容を見ては、優先順位を考えたり、段取りを考えたり、終わったことは横線で消したり、思い出したことを追記したりします。
書きためていくばかりでは、メモ用紙何枚にも及ぶやることを見て憂鬱になるだけですし、気持ちもなんとなくせかされます。そこで、優先順位をつけ、段取りを考えて、何が何でも今日中に終わらせる必要があることだけを別の紙に書きだし、朝から意識を集中して取り掛かるのです。もし途中で中断したとしても、引き続きやれば良いのです。もし、3時ごろに書いてあることが終わったとしたら・・・今日はもう急ぐこともないし、ゆっくり子供の相手をして時間を過ごそう・・・と気持ちにゆとりも生まれ、子供もご機嫌!です。
しっかりと優先順位をつけることが重要です。常にやることは追加されるますので、その都度頭の中で優先順位をつけなおすのです。
また、書き出すときに欲張りすぎないことも大切です。心にゆとりを持って取り組んでいけば、たくさんのやることも以外にスムーズに終わるものです。書いてあるやることの多さを気にせず、優先順位の高いものから一つ一つ取り組んでいくのです。
紙に書き出すこと、優先順位、段取りを考えることは、きっと誰もが知っているごく当たり前のことだと思います。それを如何に習慣化し活用するか・・・。
当たり前のことを当たり前に徹底してやる。
これはある意味セルフマネジメントだと思うのです。
■執筆者プロフィール
中川 普巳重(なかがわ ふみえ)
京都リサーチパーク株式会社 EBSセンター (ただいま育児休暇中)
中小企業診断士、ITコーディネータ、日本経営品質賞セルフアセッサー、
キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Eメール fumie-na@k4.dion.ne.jp