今年の京都は、良く雪が降ります。雪国の人には申し訳ないようなことですが、舞い落ちてくる雪や一面の雪景色には、大人になっても、どこか楽しい気持ちにさせてくれるものあります。雪の純白さの魅力なのかも知れません。
今回は、通信と放送に関する法律の話題です。
音楽はケータイからという時代になったかと思っているうちに、いつの間にやら、まずはYouTubeやGyaoのビデオ配信を視聴して、というようになってきているようです。
そして、音楽の提供に関わらず、近年の「インターネット/ネット」利用の広がりは、あらゆるメディア(媒体)の将来に、大きく影響を持ち、想像以上に急速な変化を招きつつあります。
通信の利用においてインターネットが日本国内で普及しはじめたのは、90年代半ばのこと。それ以来、メディアとして発展、拡大を続けていますが、YouTubeもそうですし、Googleや、WikiPediaもそうですが、今では、「インターネットの○○で」などとは言わずに、「YouTubeで」という言いかたようになって来ているようです。新しいメディアとしての浸透のほどが、良く表れている変化です。
いずれにせよ、インターネットによるウェブでのサービスは、今では、利用者側が、インターネットを使っているということをわざわざ意識しないくらいに生活になじんできています。
その今後の発展のなかで、テレビ番組がインターネットを通じてウェブで視聴できるようになったらどうなるか、そもそもそれは、通信か、放送か、、、 そうしたことが「放送と通信の融合」として議論されています。
この「放送と通信の融合」は、技術的な困難があって実現が難しいという面よりも、映像や音楽といったコンテンツをどのような流通(広義)を通じて利用者に届けるか、というビジネスのありかたの問題、そして、そうした新しい事情に合った法制度をどう整備するかという問題、のようです。
電気事業通信法が制定されたのは、1985年。電気通信業界の規制緩和を求める動きに応えたこの法制定を経て、第二電電、日本高速通信 (この2社は、現在はKDDI)、日本テレコム(現在はソフトバンク)などが、国内に誕生しました。
放送法は、文字通り、放送事業者について定める法律です。1950年の制定以降、幾度も改定を重ねてきました。途中、1972年には、有線テレビジョン放送法も、制定されました。
しかし、こうした、従来の法律制度の枠組みでは、もはや対応ができない情況となり、新たな法体系が求められています。
総務省の『通信・放送の総合的な法体系に関する研究会報告書のポイント』(2007年12月6日)http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/071206_2.htmlでは、2010年での国会提出をめざす「情報通信法(仮称)」について、下記のような内容が示されています。
「今後登場が期待される放送に類比可能なコンテンツ配信」と記されているところに、示唆と予見の難しさの両方を感じます。
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■法体系の再構築
電気通信事業法、放送法といったメディア形態や業者による「縦割り」から、コンテンツ、プラットホーム、伝送インフラ(伝送サービス、伝送設備)といった「横割り・レイヤ方式」に再構築する。
■基本的な考え方
急速な技術革新に対応できる技術中立性の重視
規制の緩和・集約化による多様な事業展開
整合性・統一性のある利用者保護対策
■各レイヤーにおける規律
【コンテンツ】
「特別な社会的影響力」に重点を置いて、コンテンツ規律を再構成
1.公然性を有しないもの ・・・私信など特定間の通信
⇒通信の秘密を保証
2.公然性を有するもの
⇒情報通信ネットワークを用いた「表現の自由」を保障
1)オープンメディアコンテンツ(仮称)
‐特別な社会的影響を有しないもの‐
「違法な情報」
→情報通信ネットワーク上で情報を流通させる全ての者が本来遵守すべき最低限の配慮事項を具体的な刑罰を伴わない形で整備。
→行政機関が直接関与しない形での対応を促進する枠組みを整備。
「有害な情報」
→フィルタリングの提供の在り方等を検討。
2)メディアサービス(仮称)
‐特別な社会的影響を有するもの‐
・現行の放送
・今後登場が期待される放送に類比可能なコンテンツ配信サービス
一般メディアサービス(仮称)
→原則として現行の放送規制を緩和。
特別メディアサービス(仮称)
→現在の地上テレビ放送に対する規律を原則維持。
【伝送サービス】
・通信・放送の伝送サービス規律を統合
・柔軟かつ自由な事業展開を加速。
・公正競争促進・利用者保護に重点対応。
【伝送設備】
・サービス区分の大括り化など、電波の柔軟な利用を確保。
・通信放送の区分にとらわれない形で利用を進めるための無線局免許制度の見直しなど、制度改革を推進。
・事業者がレイヤーを超えた事業展開を進めることは原則自由。
国民生活に不可欠な情報の流通やメディアの多元性の確保・公正競争促進のためのレイヤーを越えた取引規律及び垂直型兼営規律など、レイヤー間規律の整備の必要性について検討。
・著作権法制などの既存法制についても、関係府省が連携して、「包括的なユビキタスネット法制」として再設計する可能性について議論
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2010年といえば、もうすぐ間近。ちなみに、政府が、ブロードバンドゼロの地域を無くすことを達成する、としているのも、この年です。
制度や技術インフラの大きな変化は、様々なビジネスのチャンスも生みます。
そういう視点からも、注目しておきたいものです。
■執筆者プロフィール
松井 宏次(まつい ひろつぐ)
ITコーディネータ 1級カラーコーディネーター 中小企業診断士
e-mail:hiro-matsui@nifty.com