高速回線があまねく普及し、全国どこでもインターネットが自由に使える環境が整ってきた。このような時代になって、我々のビジネス環境はここ10年で大きく様変わりした。1995年にご存じWindows95が発売されて以降、パソコンの価格破壊、そして携帯電話の爆発的な普及があり、状況は一変した。パソコンも最近の通販ではデスクトップなら5万円台で購入できる。
しかも、液晶のモニターで。隔世の感がしてならない。
自社のホームページをお持ちの企業も多くあるだろうが、果たしてどれくらいビジネスに活用されているか、一度点検されることをお勧めしたい。おそらく、ホームページ開設当初の熱気とエネルギーがすっかり冷めて、最近は更新もおぼつかなく、数週間、いや、数ヶ月更新もなく、手付かずの状態
で放置していないだろうか?
そんなホームページが、実際に多くあり、ビジネスに活用されるには、程遠い現状ではないだろうか。
昨今は、ASPだの、Web2.0だの、やれブログだの、新しい技術や方式がどんどん巷に出てくるから、企業側も勉強が追いつかない。追いつかないけれど、せっかく自社で立ち上げたサイトの活用を図らないともったいない。しばらく放置すると、なかなか次の腰が上がらないのは、別にこれに限ったわけで
はないが、以下に活用のポイントを書いてみた。ひとつでも、ふたつでも、とにかく取り掛かることが重要だ。行動を起こさないとなにも変化は生まれない。
●こまめに更新を行う
言わずもがなではあるが、詰まるところこのことに尽きる。なぜ更新がなされないかというと、更新するコンテンツ=内容が乏しいからである。乏しいより、ほとんどないという企業もある。コンテンツは自らが生み出さないといけない。一般の消費者に直接販売するような商材を扱う企業なら、多くの表現できるコンテンツはあるだろう。それに比較し、生産財や耐久財、生産部品などを扱う業種や、企業からの受注を請けて生産をする企業などは、どういうコンテンツでもって更新すればいいか分からないと、よく言われる。
クライアントとの守秘義務もあるだろうし、なかなかことは簡単ではない。
しかし、一般にアピールできる技術や製品紹介、または商品に関する知識の部分など、一般消費者が見なくても、ビジネスの対象者が見ればいいので、手を抜いてはいけない。
●すべて自社で完結することは考えない
内容の更新作業などは、モチはモチ屋に任せたほうがよい。もちろん、勉強してできればよいが、経営者はもっと自分の本来の業務に集中する。ただし、何をどう更新するか、そのコンテンツは自分で責任もって作らないといけない。HTMLで自分で書いたり、画像をはめたりなどという作業部分をやらないというだけだ。コンテンツの作成まで、外部に丸投げはいただけないし、そんなホームページは誰も見ない。
●過剰サービスくらいのたくさんの情報発信をする
公開できる会社の事業価値のある情報を、できる限りたくさん発信する。
一気に公開しなくても、段階を踏んで順次発信する。特に、代表者しか書けないハウツーの部分などは、クライアントやユーザーが非常に興味を持って見るところになる。
(1)一口メモや知っててお得コーナー
(2)当社の技術の「キモ」
(3)製品ができるまでの「極意」
(4)ユーザーの声
(5)現場からのメッセージ
など、工夫すれば、考えれば、いろいろとネタはあるはずだ。あとは、ホームページのコンテンツとしてふさわしいお化粧をすることが大事だ。
●代表者のメールマガジンを発信
当初、アドレスの分かるユーザーは少ないかもしれないが、アドレスをゲットできたユーザーには、必ずメールマガジンを創刊し、送り続ける。メールマガジンは代表者自らが情報発信できるいい媒体だ。とにかくアドレスの管理をきちんとやれば、ユーザー本人に自社発行のメールマガジンが直接届
けられるのはすごいことだ。そこから、ホームページへリードするのは簡単だ。メールマガジンの発行は、かけている時間を除けば、無料だ。こんなすごい媒体はない。
●SEO対策を行う
一般消費者やユーザーが、目的のサイトを探すときに、頻繁に利用されるのが「検索エンジン」だ。この検索サイトで上位ランクに自社のサイトを持ってくることを「サーチエンジン最適化技術」という。検索エンジン=Search Engine=SE、最適化=Optimization=O の略称だ。SEOは最近非常に注目を
集めているキーワードで、いかに自社のサイトを検索サイトの上位にランクアップさせるか。企業によっては死活問題だ。更新頻度が長いなどという、のんびりした問題ではない。とにかく、実店舗と一緒で、来店者に売上は比例する。一人でも多く来てもらうことが大事だ。
●ホームページを活性化する新しい技術
とにかく自社のサイトへのアクセスを増やすために、あの手この手を考える。「リスティング広告」という新しい課金方式が注目を集めている。紙面の都合で詳細は省くが、研究して損はない。その他、ブログの活用、アフィリエイトなど、Web2.0時代に相応しい双方向の新しい技術が、目白押しだ。
全部研究する時間はないかもしれないが、ちょっと詳しい人に聞けば、すぐに分かる。要は、経営トップがその気になるか、ならないかだ。
■執筆者プロフィール
成岡秀夫
中小企業診断士、高度情報処理技術者。株式会社成岡マネジメントオフィス代表取締役。京都府中小企業再生支援協議会サブマネジャー他公職多数。最近の主力は、企業再生、事業承継、経営革新。自称生まれる前からの阪神ファン。
naruoka@nmo.ne.jp http://www.nmo.ne.jp