ミャンマーで先日起こったサイクロンは、国連の報告では援助を必要とする被災者数が最大250万人になる可能性があると報告されており、又中国での四川省大地震では現在(執筆当時で)死者が5万人を越えるであろうと国営・新華社通信は報道しています。被災された人達大変なご苦労をされていることと思います。
連続して起こる地球規模の異変に、改めて地球温暖化に対する対策が待ったなしの状況になってきている事を痛感しています。
ITの活用によりユビキタス社会の実現と言われて久しいですが、世界に目を向けた場合、まだまだ程遠い感があります。
と言うことで、前段が長くなりましたが本題へ入ります。
先日、知人の紹介で中小卸業の会社(A社)がシステム化で悩んでいるので、一度相談にのって上げてほしいと電話で依頼がありました。
その数日後に、A社を訪問しましたところ知人より相談者と聞かされていた常務は名刺交換だけして、非常に忙しいので「後は隣にいる担当部長に全て申し伝えてあるので担当者より聞いてください。」との事で、職場へ戻られていきました。
人員が充分に揃わない中小企業では取締役と言えどプレイングマネジャである事は間々ある事です。
担当部長から相談内容をお聞きしたところ、物流関係のシステムが現状全く機能していなので、早急に変更するように指示されているとの事でした。この時点で、「システム化」がゴール(目的)となっている事が明確でした。そこで、ITCプロセスの上流工程である、経営戦略のヒアリングを型通り行ったのですが、担当部長は経営には全く関与しておらず、どんな経営課題に対してITで解決しようとしているのかが、全くわからないという場面に遭遇しました。
このように、経営に関与するシステム担当者(CIO (Chief Information Officer)最高情報責任者)がいない中小企業は珍しい事では無く、そのような経営者のために経営とITの橋渡しをする私達のようなITCの存在価値がある事を再認識しました。
私自身が、20年間のサラリーマン時代に経理、財務、SE、経営企画をほとんど同じ割合で仕事をしていた事もあり、経営戦略からのアプローチは違和感も無く、どちらかと言うと得意分野であるのですが、ITCのメンバーの7割以上が企業内IT(しかも経営に関与している方は非常に少数であると思います。)という統計も出ています。
システム化はあくまでも「経営課題を解決するための手段」にしか過ぎないという事を再認識して、企業ミッション・ビジヨンからきっちりとプロセスを踏む事は非常に大きな成功要因となります。
そのようにIT化に対して経営課題から論理的に考えていらっしゃる経営者は、まだまだ少数です。そこで、私なりにそのような企業を判断する基準としているものがあります。(あくまでも個人的見解ですが… ご参考にどうぞ)
1.社是、社訓、理念等が社内にきっちり掲示されているか
(長期的な視野があるのか 場当たり的な経営でないか)
2.社内の清掃具合
(規律、企業の余裕度、情報に関する意識)
3.社内の雰囲気
(意欲的に働く環境が整っているか)
4.経営者と従業員の意識の共通度
(ビジョン、理念、目標がきっちり会社に浸透しているか)
などの項目を、初回訪問時に確認するようにしています。
私の経験の中では、割とあたっています。
最後に、経営戦略フェーズにおいて、重要となるキーワードと簡単な説明です。
(但し、説明に関しては人により随分解釈の違いがあります)
ミッション:(任務や使命 ビジネスを支えている価値)
ビジョン :(方向性、将来像)
経営理念 :(企業経営の普遍的な方針)
目標 :
経営戦略 :(企業領域を特定し、参入すべき市場・方法を決定する)
経営戦術 :(戦略を達成するために、リソースをどのように投入するかの方向性)
ドメイン :(企業の事業活動の範囲・事業領域)
■執筆者プロフィール
高松 崇(たかまつ たかし)
ITコーディネータ・システムアナリスト・経営支援アドバイザー
memis代表 http://mypage.odn.ne.jp/home/kyoto_memis