危機管理とコミュニケーション/藤井 健志

 ●まさか私が
 忘年会の帰り、パソコンの入った鞄を置き忘れてしまった。気がついて真っ青
・・・見つからなかったらどうしょう?
 私たちの周りにはさまざまなリスクが待ちかまえています。人間は完璧ではあ
り得ないし、この世に生きている以上、何が起こるか分かりません。いちいちそ
んな心配をしていたら何にもできないではないかという声もありますが、私たち
個人も生きていく限り様々なリスクにさらされています。

 当然企業もそれ以上に様々なリスクが取り巻いています。法改正や世間の意識
などの外部環境の変化や、思わぬ事故、事件に直面し、いつ大きな問題を抱える
ことになるかもしれません。

●平時の危機管理
 日頃から潜在的なリスクを掌握し、予防策を検討し、危機管理の意識と知識の
社内浸透をはかることが平常時の危機管理として求められます。「ひやりとした
こと」「ちょっと変だなと思ったこと」「本当に大丈夫かなと思ったこと」はな
いか、潜在リスクを洗い出して、分析してみることが必要でしょう。

 それでもトラブルは発生します。その時は・・緊急時の危機管理。最近では内
部告発による問題の発生、さらにマスコミ報道によってリスクが拡大、深刻化す
るという事例が多くあります。牛肉等の産地偽装事件や賞味期限の改ざんの問題
がよくマスコミに取り上げられて世間を騒がせていました。筆者の関係している
菓子メーカーでも社内のチェックで期限切れの材料の混入が発覚しましたが、す
ぐさまマスコミに公表し、謝罪広告を掲出して、被害は最小限で食い止められま
した。

●リスク発生時のマスコミ対応
 ひとは起こしたことで非難されるのではなく、起こしたことにどう対応したか
によって非難されるのです。
 トラブルが発生したときはまず事実の確認。そのリスクを招いた本人から事実
を聞き出すこと。トラブルの相手とはすぐに面談すること。情報開示のスピード
がダメージを小さくします。

 リスク発生時のマスコミ対応のやり方いかんが企業のダメージに大きく影響し
てきます。各企業は経済部の記者とはリリース等で接触があっても、社会部の記
者とはほとんどの方が面識がありません。事件・事故を担当するのは正義感に燃
えたこの社会部の記者です。一人の記者、カメラマンの背後には多くの生活者が
います。記者を通じて消費者、世間に企業メッセージを語りかけているのです。
カメラマンは絵になる瞬間を待ちかまえています。

●緊急記者会見
 世間(=記者=読者・視聴者)=多くの生活者が求めているのは情報を積極的
に公表することで責任を果たそうとする企業の姿勢です。事実誤認や風評リスク
によって不必要な社会からの不信やイメージダウンを防ぐためにも、積極的に情
報発信することが求められます。場合によってはマスコミから求められる前に緊
急記者会見を行い、説明責任を果たすことが、早期収束の切り札となります。
そのためには、情報を一元管理し、一カ所にまとめて関係者全員が共有化できる
ようにします。

 緊急記者会見で伝えるべきポイントメッセージは以下の5つです。

1.謝罪表明
 まずは世間にご迷惑をかけたというお詫びの姿勢を示す。

2.現状説明
 何が起きたのか、現在明らかとなった情報の開示

3.原因究明
 なぜ発生したのか、原因究明に取り組んでいる状況などの表明

4.再発防止策
 再発防止のための具体的な対応策、制度・組織等を示す

5.責任と処分
 トラブルに対する責任の所在の表明

●社会的説明責任と早期信頼回復
 マスコミの追求は社会部記者の問題意識により、対象企業の規模に比例して大
きくなりますが、中小企業と言えどもその社会的説明責任が求められます。とに
かく事件・事故が起きたときには、情報公開がなにより求められるということ。
発表しないことで、かえって社会不安をあおり、マスコミや世間から企業が非難
されることが非常に多くなっています。自社のホームページでも同時にその内容
を公開し、信頼回復に努める姿勢がリスクの影響やダメージを最小限にとどめま
す。


■執筆者プロフィール

藤井健志

ITコーディネータ・一級建築士・中小企業診断士
経営・デザイン・ICTの包括的展開を志向しています。
fujii@nisshosha.co.jp
(勤務先:株式会社日商社)


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