ご存知ですか "カーボンフットプリント 炭素の足跡"/松井 宏次

 3月に入り、淡い赤色の桃の花が見頃になったと思っているうちに、京都地方気
象台が、早々に桜の開花宣言。本号のメールマガジンが配信されるまでには、桜
の花盛りを迎えていそうです。

■環境問題
2005年2月に発効した京都議定書。そこでは、1990年を基準とした二酸
化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの削減が、各国に義務づけられま
した。日本の削減義務は6%。昨年2008年4月から第一約束期間に入りまし
た。緑色の、地球の左右に線が伸び「みんなで止めよう温暖化」の文字が入った
「チームマイナス6%」のマークをご覧になられたかたも多いことと思います。
このマークは、地球温暖化防止の国民運動の推進に関し行政、事業者、国民が
一丸となって取り組もうということで定められた、シンボル。しかし、排出量は、
削減ではなく逆に6%以上上回っているのが現状と、伝えられています。

企業等の事業活動が原因となり、大気や水、土壌の汚染などとして現れる「公害
問題」と異なり、「環境問題」は、産業活動から日々の生活にわたる複雑な連関
のなかで生じます。環境問題の解決は、人々の生活の側からの対応を抜きに考え
られず、チームマイナス6%という運動が展開されている背景もそうしたところ
にあります。

■カーボンフットプリント
今回とりあげる環境問題への対応は、「カーボンフットプリント」(炭素の足跡)
制度です。
製品・サービス等の原材料調達から、消費者が使用・廃棄する段階までを含めた
ライフサイクル全体を通じて排出されるCO2について、排出量を「見える化」
することで、それを削減しようという取り組みです。カーボンフットプリントを
製品等に表示することで、消費者がCO2排出量の少ないものを選択でき、かつ、
メーカー等での、CO2排出量の少ない製品の開発を促進しようというものです。

製品のライフサイクル全体での環境に与える影響を明らかにしようという手法L
CA(ライフサイクルアセスメント)を用いた制度としては、既に、「エコリー
フ制度」があり、複写機やプリンタ、パソコンといった電気機器を中心に、耐久
消費財に適用されています。
カーボンフットプリントは、耐久消費財ではなく、日常的に購入する機会の多い
日用品などの非耐久消費財から普及していくことが想定されています。 また、
カーボンフットプリントの表示では、CO2量そのものが判り易く表記され、購
入時の消費者の選択に役立つよう工夫されています。

  カーボンフットプリントの算定の範囲は、次の各段階です
    ・原材料調達段階
    ・生産段階
    ・流通、販売段階
    ・使用、維持管理段階
    ・廃棄、リサイクル段階
  個々の段階の算定では、PCR(商品別算定基準)と呼ばれる、同一商品
  の共通基準になる定義や、計算単位、表示方法などが定められます。

日本では、2008年から具体的な検討が開始され、今年、2009年度から経
済産業省による「カーボンフットプリント制度構築等事業」が実施される予定で
す。
2008年末のエコプロダクツ展では、同省の研究会に参加している会社のなか
から、小売大手、飲料、食品会社など30社50品目でカーボンフットプリント
の試行品が展示されました。また、今年の1月には、参加社の一社イオンがプラ
イベートブランド品を用いた試験販売を一部店舗で行ない、表示の統一マークが
つけられた商品が店頭に並びました。その表示マークでは、排出CO2の量と、
「つくる」「はこぶ はんばい」「つかう すてる」の3段階に分けての構成比
が、記載されています。秤と円グラフを並べた図案の緑色のマークに、見覚えは
ありませんでしょうか。
ちなみに、試験販売品のうち、袋入りの米「あきたこまち 5kg」のCO2総
排出量は7730gでした。
 
業種、規模の大小を問わず、企業にとって、環境問題、あるいは持続型社会にむ
けての姿勢や取り組みは、自らビジネスを長く続けていくためにも欠かせなくな
っています。
景況の厳しさが続く中、資金や販路など切迫した課題も山積みになりがちですが、
環境問題への様々な取り組みに注目しておくことも、時流を知り対応して行くた
めに大切ではないでしょうか。

参照
 経済産業省 カーボンフットプリント制度の基本ルールが決定
  http://www.meti.go.jp/press/20090303004/20090303004.html

 CO2の“見える化”「カーボンフットプリント」トップバリュ7品目9種類
で試験販売
http://www.aeon.info/ICSFiles/afieldfile/2008/12/11/081211R_1.pdf

 みずほ総合研究所
 『カーボンフットプリント制度の試行と本格導入に向け解決すべき課題』



■執筆者プロフィール

松井 宏次 (まつい ひろつぐ)
ITコーディネータ 1級カラーコーディネーター 中小企業診断士
mailto:hiro-matsui@nifty.com 


公式Facebookページはこちらから

<いいね>をクリック!