米国の金融危機に端を発した世界同時不況の真っ只中にあり、100年に一度といわれる非常事態にあります。今ほど経営に関して困難且つ重要な時はなく、企業にとって市場そのものが消えているともいえる状態の中、サバイバルのために経営革新を行い新たな顧客創造を図らなければならないといえます。
経営革新とは、従来の考え方、慣習、やり方のままでいけることを問い直し、顧客創造をしてより高い顧客価値を実現するために、常に新しいものを創造し続けることで、製品開発、生産・販売・調達の各プロセス、顧客関係プロセス等あらゆる価値を生み続けることをいい経営の品質を高めていきます。
「経営品質」とは、製品やサービスそのものの品質ではなく、経営(マネジメント)の質に注目した考え方です。お客様が常に「価値が高い」と感じる製品やサービスを生み出すために、自社の経営や組織の課題に気づき、それを革新(イノベーション)して経営(マネジメント)の質を高める活動を、経営品質向上活動といわれています。
また、経営品質とは目的を実現できる組織の状態を意味しています。良い組織とは、いつでも同じ状態にあることはありません。様々な影響によって、お客様の考え方は変化します。その変化に対してもっと高い価値を提供できるような組織に変えていくために、変革能力を高めていく必要があります。経営品質とは価値革新を生み出す組織の状態を高めようという考え方で、特定の改革手法ではなく考え方であり、これまでの事業者の各種の改革を、より一層その組織の目的達成に向けて促す取組みであります。
先述した経営品質向上活動について、経営品質協議会(東京)があり、そこでは「卓越した経営」を目指してこれまでの経営のあり方を振り返り、将来のありたい姿の実現に向けた経営革新活動のことをいわれています。これまでの経営の振り返りをアセスメントと推奨され、具体的には現在の業績はどのように生み出されてきたのかについて、(1)経営における方針、戦略と第一線の業務までの一貫性、(2)顧客ニーズを商品の企画・開発に結びつけ、生産・販売する一連の価値創造の過程と働く人の能力開発や育成などの連携性、という2つの関係を各業種、業態の組織にも共通する枠組み(フレームワーク)があり、その枠組みは、大きく「組織プロフィール」と「8つのカテゴリー(経営要素)」から構成されています。それらの枠組みを振り返ることで、何をどう革新すべきかを明らかにし、一段高い組織になる方向性を示唆されています。このアセスメントを実践するために「アセスメント基準書」が発刊され、自らアセスメントできる「セルフアセッサー」の資格育成をされ、これらをまとめ「経営品質向上プログラム」として経営品質協議会が提供されています。
その経営品質向上プログラムの基本理念は顧客本位、独自能力、社員重視、社会との調和の4つの要素から構成されており、それぞれの考え方は以下のとおりです。
顧客本位:組織を利益追求の仕組みでなく、顧客価値創造のプロセスと考え、組織の目的と戦略から自社の顧客満足のあり方を検討、構築し、それを追及し続けることを求めています。
独自能力:業界横並び、業界常識にとらわれることなく独自の見方や独自の能力を作り出すことを求めています。横並び、単なる真似では価格競争だけに陥り、適切な利益が確保できず、顧客価値を創造することが難しくなります。
社員重視:高い顧客価値を生む組織は経営者と社員との信頼関係によって成り立っているといえます。また、顧客価値の視点から深く考え、挑戦し学び続ける社員を育て、自由に発想し、対話できる組織作りを目指していきます。
社会との調和:会社は社会に基盤を置いています。社会が組織に求める倫理性、健全性を重視しなくてはなりません。世のため人のためを第一に考える組織は社会性を追求し、それを高めることで組織の思考力を高め、適切なガバナンスを自立的に作り上げることを目指します。
更に理念に基づいて卓越した経営を実現する上で必要な7つの経営要素を重視する考え方がありますがここでは割愛します。これらとフレームワーク等に関しては、アセスメント基準書に記載されています。
ところで、下記の問いかけに対し即答できますか。
・あなたが考える素晴らしき経営とはどんな経営ですか
・あなたの会社のこだわりは何ですか
・あなたの会社にとって重要なお客様は誰ですか。取引する理由は何ですか
・あなたの会社は、お客様の苦情、問合せをどのように対応していますか
・あなたの会社が提供している製品・サービスはなんですか
・その製品・サービスは、どのようなお客様価値を提供するものですか
・競合相手はどこですか、どのような強みを持っていますか
・あなたの会社が勝っている点は、相手のほうが勝っている点は
・お客様があなたの会社を選ぶ理由は何ですか
これらの回答が難しいようであれば経営品質向上プログラムを勉強していただき経営品質の向上に努めてください。それには経営品質協議会、地元では京都経営品質協議会のH・Pを見て頂けば、向上プログラムの一環でオープンセミナー、入門講座、セルフアセッサーの資格取得の講座も開催しています。
是非この機会に経営品質の向上に努めてください。
■執筆者プロフィール
川島 昇 (かわしま のぼる)
川島ビジネスソリューション
中小企業診断士、ITコーディネータ、
ISO9001審査員補、経営品質協議会認定セルフアセッサー
Tel&Fax:075-611-6110 090-5164-7865
E-mail :n-kwsm@s4.dion.ne.jp