eラーニングを積極的に利用しよう/山口 透

 eラーニングとは、「パソコンとインターネットを中心とする情報通信技術を活用した教育システム」(日本eラーニングコンソーシアム)の総称です。ビデオ教材や衛星放送などを使った教育も含まれますが、最近は、インターネットやイントラネットを利用した学習形態を指すことが一般的になってきています。
 具体的には、ウェブブラウザを利用して、テキストだけでなく図表や絵、音声や動画といったマルチメディアを利用し学習効果を高めることができるシステムとなっています。
 調査会社のIDCによれば、2008年の国内法人向けeラーニング市場規模は、475億円で、今後は年間平均5.7% で成長し、2013年には626億円に達すると予測しています。

 eラーニングの特徴は、大きく3つあります。

(1)場所や時間の制約を受けない
 研修や講習会などの集合教育に比べて、場所や時間の制約を受けずに利用できることです。インターネットを使った場合は、パソコンが接続できる環境であれば、会社だけでなく自宅でも受講することができます。研修場所への移動時間の節約や研修費用の低下も期待できます。

(2)自分のペースで学習できる
 集合研修の場合は、理解度の違う参加者が混在するため、内容がわかりにくい場合や、逆に簡単すぎるなどの学習レベルの不一致がおこります。しかしeラーニングは、自分で教材の進み方を調整できるため、自分のペースで進めることができます。自分が習熟している部分は早送りし、深く知りたい部分を中心に繰り返し学習するといった進め方ができるのです。

(3)進捗を管理できる
 個人ごとや教材ごとの理解度をシステムで一元管理できるため、個人へのフィードバックや今後の教育体系の構築に役立てることができます。

 このような特徴があるため、eラーニングは、多くの企業で取り入れられています。
 例えば、大企業では自社でeラーニングシステムを構築し、技術的なノウハウの継承や個人情報保護や内部統制などのコンプライアンス教育を推進するために利用しています。
 一方中小企業では、インターネットを積極的に利用しています。具体的には、インターネット上にASP型で提供されたシステムとコンテンツを利用し、個人ごとに学習することができます。
 インターネットを利用する理由は、自前でシステムを構築する必要が無く、設備投資が不要のためコストが安いことです。また既存の熟考されたコンテンツが豊富ですぐに利用することも魅力です。WindowsやExcel等のオフィス製品などの技術習得、個人情報保護や情報セキュリティ対策などのコンプライアンス教育、最近では新型インフルエンザの対応などがよく利用されています。

 インターネットでは、中小企業が使えるサイトが数多くあります。以下に代表的なサイトを紹介しておきます。

・ネットラーニング社 (http://www.netlearning.co.jp/)
  チューター制度があり、情報技術やOfficeコースが充実しています。

・Biglobe社 (http://shikaku.biglobe.ne.jp/e-learning/)
  語学・資格教育が豊富で自己啓発に利用されています。

・科学技術振興機構 (http://weblearningplaza.jst.go.jp/)
  無料で技術者向けの教材を提供しています。

 経営状況が悪くなっている中、次の一手のためにも「社員教育」を充実させるために、積極的にeラーニングを積極的に利用しましょう。


■執筆者プロフィール

山口 透(とおる)  toruy55@gmail.com

流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、DWHの構築支援などを行っている。ITコーディネータ、システムアナリスト