デジタルサイネージ(電子看板)-映像とネットワークによる次世代広告プラットフォーム/藤井 健志

 ■まちで目にする映像媒体の増加
 最近、ショッピング街や電車の車内、また駅の中でもディスプレイを使用した
映像・広告をよく見かけるようになってきました。スーパーなどでも以前はモニ
ターからそこに置いてある商品のコマーシャル映像が流れているだけだったもの
が、その時々で流れている情報が異なっているものも目にするようになってきま
した。
 こうした映像システムは「デジタルサイネージ」と呼ばれ、タイムリーに情報
を表示する次世代インフォメーションシステムとして注目を集めています。屋外
・店舗・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ネットワークに接続したデ
ィスプレイなどの電子的な表示機能を使って情報を発信するシステムと言えるで
しょう。

 先月6月10日から12日の間、千葉の幕張メッセにてデジタルサイネージ・
ジャパン2009が催されました。その中でデジタルサイネージコンソーシアム
の理事長の中村伊知哉氏は現在のデジタルサイネージ市場は650億円程度と言
われているが、2015年には1兆円ぐらいまでには成長させたいと述べられて
いました。
(2008年度の国内市場規模は、シード・プラニングの調査では推定560億
円、矢野経済研究所の調査では553億円・対前年度比111.3%)

■市場拡大の3つの要因
 以前から梅田駅のビッグマンや京都でも河原町三条に大型ディスプレイがあり
ましだが(三条河原町にあったものは数年前になくなった)、ここに来て急に目
にするようになったのには大きく3つの要因が挙げられます。

第1点は、技術の改良にともなってハードであるPDPプラズマディスプレイ、
LCD液晶ディスプレイ、LED発光ダイオードなどの価格低下。以前は100
0万円レベルであった100インチディスプレイも100万円程度で手にはいる
ようになってきた。
第2点は、ネットワーク化の進展
今まではスタンドアローン型の情報配信でそのコンテンツ更新に即時に対応する
ことはできていなかった。それが高速光回線が充実し、リアルタイムの操作が可
能となったこと。
3番目には、地デジ投資が一段落し、ディスプレイ関係メーカー各社の新たな市
場探しの動きに寄るところであろう。

■デジタルサイネージの利点、新たな試み
 屋外・店頭・公共空間・交通機関などあらゆる場所で、ネットワークに接続し
たディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステム、それ
がデジタルサイネージと呼ばれるのですが、その場所にいる人に向けて確実にメ
ッセージを発信できるため新しい広告メディアとして注目されているのです。
 その場にいるターゲットに、焦点を絞ったメッセージを、ピンポイントに情報
提供でき、費用対効果の高い手法が今後いろいろ開発されていくでしょう。

 新しい取り組みとして顔認識技術を活用したデジタルサイネージ商品化の実証
実験が行われてきました。内蔵カメラを取付け、通行人や来店客の年齢や性別を
顔の画像で識別し、その人にあった広告を打ち出す。あらかじめ用意した数種類
の広告画像の中から顧客の属性と時間帯にあった広告を表示するというようなシ
ステムを組み込んだものです。またデジタルサイネージから半径1m以上1.5
m未満の地点で何秒見ていたらポイント5などと数値化して、
認知度の測定に活用することもできるようになってきました。

 流通関係・小売業でも活用へ向けた流れが動き出しました。総合スーパーのイ
オンは本格的な導入をはじめ、都内30店舗に300台端末を設置。レジの後方
に32インチの液晶ディスプレイを170cmの高さに設置し15秒単位のコン
テンツを流しています。他、スーパーや小売店でもチラシと連動した映像を流す
などして商品の売り上げが2~3割増加したという例も見られています。

 大手や、中堅の流通小売業では、デジタルサイネージは店の端末と管理用サー
バーを無線LAN やインターネットで結び、時間帯や客層に応じた情報を端末ディ
スプレイに流し、効果測定を次に活かすというシステムを目指しています。

■中小個店・小売店としての活用
 それでは中小企業、中小小売店としては、どのような取り組みが可能でしょう
か。はじめから大規模なシステムを構築することはむつかしいでしょう。
できることからまず始める。パワーポイントのスライド映像でも、店長のメッセ
ージでも何らかの端末を売場に設置し、お客様の反応を直接確認すること。
そして商品レイアウト、棚割などと併せて、どのときが良い結果に結びついたか
をじっくり考えてみる。
仮説・検証・改善のループを繰り返し、設置場所やコンテンツの内容を徐々に工
夫していけばいいのでしょう。

■今後の展開・方向性
 そのうちマンションのエレベーター内のディスプレイに特売情報を流したり、
地震が起きたときにはそれが避難所への経路案内にかわるなど、地域の情報基盤
としての役割を持つデジタルサイネージが活躍するでしょう。都市部に張りめぐ
らされたコンビニ網を使って一部の店舗では、行政情報の発信の実験も行われて
います。
 データ通信によって本部が店舗や時間帯、ターゲットに応じて内容を自由に変
えられるデジタルサイネージのシステムは、ケータイのICチップなどと組み合
わされたり、今後いろんな活用法が考えられ、身近なものになっていくでしょう。


■執筆者プロフィール

藤井健志
一級建築士・中小企業診断士・ITコーディネータ
(勤務先)株式会社日商社 fujii@nisshosha.co.jp


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