中小零細企業の現場から(2)/米田 良夫

 私は商工会議所で経営指導員として勤務しております。今回のメルマガは、地
区のがんばっている中小零細企業とグループを紹介いたします。

(1)異業種交流会を通じて製品開発を

 異業種交流会「フォーラム・アイ」を紹介します。創立したのは1997年と
古く、現在は32社が参加しています。月1回の例会、工場見学、泊まり込み研
修などの活動をされています。参加企業は、部品加工業、メッキ業、和紙卸業、
印刷業、造花業など多種多様な業種が集まっております。

 「生野を日本のミラノにしよう」を合言葉に交流会から新しい製品を開発し、
独自ブランドの「YOROI」シリーズを立ち上げました。そのきっかけは、ミ
ラノの中小企業が、付加価値を付けて積極的に海外輸出に取組んでいるのを見学
したからです。今までに商品として、アタッシュケースやポシェット、自転車な
どを商品化しています。今後もデザインにこだわった新製品を開発していく予定
です。それらの商品は、ネットを通じて販売しています。また、期間限定で百貨
店で販売したこともあり120万円ほど売上ました。

 当会は、地域貢献にも積極的に行っています。7月には地元の工業高校の生徒
をメンバーの工場に招いて、へら絞り加工の実習体験を行いました。また、8月
には工業高校で、近隣の小学生を招き、「ものづくり教室」を予定しています。
当会の会員である和紙商や造花業、研磨業の企業が協力します。その内容は次回
に報告します。

 当会や「まいど1号」を宇宙に送ったグループなど、小規模零細事業所でも業
種の壁を超え、目的を持って集まり、各自の得意分野を活用することで、新たな
ものが生み出されます。現在の不況期にあって、異業種交流会や農商工連携など
の活動を活発にすることにより、明日の日本が見えてくるように考えます。

  URL http://www.forum-i.com

(2)新素材の開発で世界をマーケットに

 当社は、昨年、バイオラバーを使った水着で話題になり、一躍有名になりまし
た。残念ながら北京オリンピックには採用されませんでしたが。今年、7月の全
米選手権100m背泳ぎで世界新記録を出すなど、バイオラバー素材に優れてい
るところを証明しました。
 
 当社は、資本金1000万円、従業員73名の中小企業です。廻船問屋から、
海運業、合成ボタンの製造などを経て、戦後、海女さん用の潜水スーツを製作し
とのが、現在の合成ゴム事業の始まりです。その後、ウェットスーツ、トライア
スロンスーツ用に素材を提供し、前者は世界70%以上、後者は世界90%以上
のシェアをもっています。このバイオラバー素材は、通称「たこ焼きラバー」と
呼ばれています。それは、素材の表面にたこ焼き器のような丸いくぼみがあり、
水の分子を抱え込むのだそうです。結果、水となじみ速く泳げるとのことです。

 8月11日には、競泳水着用の織物素材を当社は発表しました。来年から国際
水泳大会で使える水着の素材が織物に限定されたことに対応するためです。新素
材は織物生地に直径数十マイクロメートルの微細な凹凸を設けたもので、凹凸に
水分子が入り表面が滑らかになり摩擦抵抗が減るとのことです。

 最近では、医療健康分野でもバイオラバーが注目されています。バイオラバー
にはがん抑制効果あるということが、学会でも発表されています。それを利用し
た製品として、肩こりや腰痛、ひざ痛用などがあります。使用した人の話による
と、ポカポカ暖かくなってくるそうです。

 昨年の社長の講演会時、人事に関する質問があり、その中で、特に印象深かっ
たことがありました。それは、従業員は出勤してくる時はネクタイをしてくるよ
うに指導しているとのことです。出社すれば作業服に着替えるが、これから仕事
をするという意識を持たせるためだということです。この意識が常に新しいもの
にチャレンジする精神につながっていると思います。現在の不況を脱出するのも
こういうところからではないかと思うのです。

  URL http://www.yamamoto-bio.com

(3)小学校時代の思い出を

 次に紹介するのは、ランドセルの製造業です。当社は、小学校で使っていたラ
ンドセルを落書きや、シール、名札、時間割もそのままにミニランドセルに作り
直すことで広く知られました。読者の皆さまも小学校での思い出がいろいろとあ
るでしょう。私も貧しいなか買ってもらったランドセルに、誇らしげに写真を撮
ってもらった記憶があります。その思い出が形を変え残ります。同じ思いをする
方も多いのか、予約は先々まで入っており、今年の受け付けは終了しています。

 当社は、1950年創業の手作りランドセルメーカーです。資本金1000万
円、従業員13名。現社長が2代目です。卸を等さずネットから注文を受けてい
ます。社長は吉田カバンを経て、親元に戻りランドセル専門店として、43年製
造に携わっています。ネット販売は1998年から取り組んでおります。後継者
の息子さんも入社し、ファッション性を加味した手作りランドセルを製作してい
ます。
 当社のコンセプトは、ホームぺージから
 ・作り手の「心」をランドセルという「カタチ」にする伝わるものづくり
 ・「オシャレ一年生を応援するファッションアイテム」として、時代の半歩先
  を見つめた商品展開
 ・お客様に喜びと満足、そしてランドセルを通して感動を提供する会社
 ・ジャパンクオリティー、妥協のない品質
 ・徹底したコミュニケーション、教育によるミスの最小化
 ・既存の方法にとらわれない柔軟な発想で「出来る方法」を追求し、答えを出
  す

 少子化の時代ですが、品質にこだわり、きっちりと仕事をする企業は生き延び
ていきます。

  URL http://www.randsel.jp


■執筆者プロフィール

 クリッジナリティー       代表  米田 良夫

商社系・独立系のコンピュータ販売会社、技術者派遣会社で永年SEとして勤務
後独立する。主としてオフコンであるが、汎用機からパソコンまで開発する。シ
ステムは生産管理から販売管理、会計、人事・給与など多種の開発をする。現在、
商工会議所の経営指導員として、中小零細事業所を巡回し経営支援をしている。
中小企業診断士、ITコーディネータ、ビジネスコーチ。

 URL http://www.credgenality.com
 e-mail y-yoneda@credgenality.com


 

 

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