■はじめに
北京オリンピックが2008年8月8日に開幕されました。世界の204の国と地域、約11,000人のアスリートが参加し、28競技302種目で競われています。4年に1回の各国と各地域から選ばれた一流のアスリート達が、4年間をかけて準備した実力を、この瞬間に爆発させ金・銀・銅メダルの獲得競争に挑むのです。アスリート達にインタビューをすると殆どのアスリート達は、「金メダルが欲しい」、
「一番になりたい」と言っています。また、男女を問わずそのスポーツ種目に相応しい精悍な表情・精神力・肉体の持ち主です。このようなアスリート達からビジネスの視点で学び取るものが沢山あります。
ここでは、日々、多様な外部環境の変化に適応しながら売上げ・利益目標を達成しなければならない経営者・中間管理職・現場の方々に、一流と言われているアスリート達やスポーツ選手達に共通するビジネス成功のキーワードをお話ししビジネス活動の参考にしていただきたいと思います。
■成功の秘訣
ある時、NHKの「FMラジオ深夜便」という番組で、各分野で活躍している方々の講演放送がありました。その講演では、米国で活躍中の野球のイチロー選手が何故これほどまでに持続的に成功し続けるのかという話になりました。講演者は、イチロー選手が「人生は今日しかない」、「毎日、完全燃焼」という気持ちで毎日精進していると言われていました。この講演を聴いて、なるほどと共感したものです。また、この講演で「成功の秘訣」には、つぎの3つがあるとも言われていました。
・持続力
目標を決めたら継続して努力をする持続的な力を持つこと
・没頭力
目標を決めたらその目標を達成・成功する為に必要な体力・知力・精神力を集中し没頭できる力を持つこと
・執着力
目標を決めたら、目標を達成するまで、誰が何と言おうと決してあきらめず執着する力を持つこと
21世紀のビジネスも同様にこの基本的な「3つの力」が、重要な成功要因の源泉ではないでしょうか。言い替えれば、そこで活躍する人達一人ひとりが、この力を糧にすれば他の人・企業よりも抜きん出て付加価値を高めることができるということです。
■突然襲ってくる外部環境の変化
突然襲ってきた米国のサブプライムローン問題や石油価格の高騰により、先進国や開発途上国の経済・国民生活への影響は急激に悪化しています。このような向かい風環境では、ともすれば、人も企業も付和雷同し悪循環スパイラルの連鎖を受け入れてしまいがちです。しかし、これを断ち切り好循環スパイラルに繋げられる最後の砦は、この「3つの力」の継続的な努力行使といえます。
■おわりに
北京オリンピックでは、日本が誇れる一流のアスリートの北島康介氏が平泳ぎで2つの金メダル(個人)を獲得しました。彼の過去4年間の試練は、筆舌に尽くせない苦渋を味わったと聴いています。彼はそれを撥ね除け成功したのです。
21世紀のビジネスは、20世紀までのビジネス環境と大きく異なります。様々な変化の嵐が波状的に押し寄せ、ともすれば人も企業もそれに飲み込まれて当初の目標を見失い、その場しのぎの活動に終始しがちです。このことは、北島康介氏が遭遇したであろう向かい風環境と類似していると思います。しかし、彼は最後まで目標を見失うことなく完璧に目標を達成しました。その成功要因は、やはり、基本的な「3つの力」だと確信します。オリンピックもビジネスも最後は、「人そのものの勝負」です。この「3つの力(精神力)」すなわち「成功の秘訣」を、読者諸兄が継続的に実践されることをお勧めします。
■執筆者プロフィール
柏原 秀明
ITC京都 理事
ITC、技術士(総合技術監理・情報工学部門)、APECエンジニア
ISO27001審査員補、ISO9000審査員補、公認システム監査人補