民主党の歴史的な大勝利以来、組織運営上のさまざまな問題も連日のようにメディアで報道されておりますが、少なくとも自民党時代にはない論点で報道がされており、政治の「見える化」も進んでいるのではないでしょうか?
政治・企業経営ともに、国民・従業員やステークホルダーにとっての「見える化」は時代の流れであり、改善を行うための大前提であると思います。ようやく政治も、真の改善へ向けての第一歩をようやく踏み出しました。
そんな中でも、11日から始まった事業仕分けを個人的には注目しています。
第一点は、事業の優先順位を決める過程をオープンにすることなど、以前では考えられないことであり、それをインターネットでの生中継までしてしまうとは(私の中では Yahooのパリーグ全試合完全中継と同じ乗りですが・・・)
若干、ただのパフォーマンスであると見ている意見もありますが、そのような事を発想(Plan)し・実行する(do)だけでも大した進歩だと思います。
(後は、check、actionで循環していけば改善していくのですから、「変化する」ということには非常に意味があります。やりっぱなしでなければいずれ評価は付いてきます。
第2点は、事業仕分けでふるい落とされた事業を理解することで数年先の財政政策をある程度予想することが可能であるという点です。
従来のように、年度予算が公表される時点では予算使途も決まっており、予算の中にある施策に対して中小企業が対応することは困難でしたが、本年度事業仕分けで採用される事業はほとんどが生活中心(ある意味で消費者目線)事業であり以外のものは大部分が見送り、又は民間や地方への移転となります。中期的な企業経営戦略の視点から言えばそのような事業にこそ、今年から準備できる事業戦略のヒントが隠されているのではないでしょうか?
民主党のマニフェストを元に幾つかのキーワードについて主観を述べてみます。
・税金か民間、国か都道府県・市町村かという見直しに関しては、一番簡単な例ですが、いままで随意契約で一般企業の参入を拒んできた大きな障壁が取り除かれ、参入が可能となる事業が出てきます。
短期的なスピード感のある戦略が必要となります(もしくは、既に準備ができていなければ、参入は難しいと思われますが・・・)
・インターネット選挙活動の解禁により、 YouTubeに代表されるコンテンツ業界の新たな収益モデルの可能性が出てきます。
・企業内保育所設置等、他社との人材確保の為の差別化や離職率の低減、CSR活動の一環としての二次的効用。
・いままでは企業側から大学等のシーズを利用しようという観点が多かったが、これからは教育界から企業側への、キャリア教育の一環としての産学連携(社会人講師等)のアプローチが増えてくるのではないか(もちろん企業にとってはCSRの一環としても地域への貢献は非常に重要です。
・高速道路を原則無料化に伴い地域活性化、みちなかビジネス。
他にも、健康食品、環境(発電、カーボンオフセット)、ナノテクノロジー、液晶パネル、電気自動車(リチウムイオンン)、シニア市場、介護、医療制度、クラウド・コンピューティング、地上デジタル放送、派遣問題、低価格訴求(PB)等、様々な事がここ数年で大きく変わろうとしています。
「100年に一度の危機」と言われていますが「100年に一度の好機」と捉えることで、競合他社の淘汰による差別化や新規事業への進出を是非今の時期に熟考していただき、この時代をチャンスとしてほしいと願います。
■執筆者プロフィール
高松 崇(たかまつ たかし) memis代表
ITコーディネーター・システムアナリスト
中小企業基盤整備機構 経営支援アドバイザー
京都府「知恵の経営」ナビゲーター
mail: takamatsu@memis.jp
http://www.memis.jp