顧客満足をふたたび見直す契機に 日本版CSI調査/松井 宏次

青紅葉色(あおもみじいろ)。一般的ではない色名かも知れませんが、青紅葉と
いう呼びかたは、京都のPRに最近使われたことでご存知のかたもおられるでし
ょう。カエデの若葉の色あいを表す名です。
秋の紅葉で知られる京都の高雄も、初夏は青紅葉に包まれます。新緑の季節から、
梅雨、夏への移り変わりを迎える時候になりました。

今回は、広範なサービス業を対象に行われた調査に関連しての話です。

第1位が東京ディズニーリゾート、2位がECカレント、3位はあきんどスシロ
ー。それぞれ、レジャー・イベント、ネット通販、飲食の各業界の1位。
これは、国内の主なサービス業29業界・291社を対象として実施された日本
版CSI(Customer Satisfaction Index 顧客満足度指数)の調査結果
の順位です。2009年度の結果が今年2010年3月に発表されました。4位か
ら先は、住信SBIネット銀行、シンガポール航空、ジャパネットたかた、アマ
ゾン、ヤマト運輸、楽天トラベルと続きます。
この指数の開発では、「サービスの品質について、異なる事業者や異なるサービ
ス分野の間でも比較が可能となるような横断的なベンチマーキングとして構築」
するのだとうたわれていましたが、なるほどランキングには様々なサービス業が
並んでいます。

日本版CSIのモデルは、「顧客満足」をもたらす原因として「顧客期待」「知
覚品質」「知覚価値」、そして、満足や不満足の結果からの影響について「口コ
ミ」と「ロイヤルティ」という概念を用います。
期待を持ってサービスを購入、体験し、そこで満足・不満足を持ち、その結果が
口コミ、そしてロイヤリティに表れるとする枠組みです。

それぞれの概念と、調査において問われる内容は次の通りです。

 顧客期待:利用前の期待・予想
  サービスを利用する際に、利用者が事前に持っている印象や期待・予想を示
  す。
  ・総合的な全体の期待 ・ニーズに対する期待 ・バラツキのなさへの期待
 知覚品質:利用した際の品質評価
  実際にサービスを利用した際に感じる、品質への評価を示す。
  ・利用経験にもとづく評価 ・ニーズへの合致の程度 ・信頼性 ・バラツ
   キのなさへの安心
 知覚価値:価格への納得感
  受けたサービスの品質と価格とを対比して、利用者が感じる納得感、コスト
  パフォーマ ンスを示す。
  ・支払った金額を考えた場合の総合的な質の評価 ・総合的な質と使った金
   額や手間ひまとが見合っている程度 ・他社と比べてのお得感
   ↓
 顧客満足
  利用して感じた満足の度合いを示す。
  全体満足:全体としてどの程度満足しているか
  選択満足:良い選択だったか
  生活満足:生活を豊かにすることに、どの程度役立ったか
   ↓
 口コミ:他者への推奨
  利用したサービスの内容について、肯定的に人に伝えるかどうかを示す。
  ・商品の魅力 ・会社としてのサービス ・適切な情報提供 ・従業員、窓
   口対応 - それぞれについて、好ましい話題とするか好ましくない話題と
   するか
 ロイヤリティ:継続的な利用意向
  今後もそのサービスを使い続けたいか、もっと頻繁に使いたいかなどの利用
  意向を示す。
  ・頻度拡大 - これまでより頻繁に利用したいか
  ・関連購買 - これまでより幅広い目的で利用したいか
  ・持続期間 - これからも利用を続けたいか
  ・第一候補 - 第一候補になるか

調査結果は、経済産業省のWEBサイト
http://www.meti.go.jp/press/20100316006/20100316006.html
に資料添付されています。

調査レポートの全体をみていただくと、ほぼふだんの印象に近い結果と思われる
結果が多いかも知れません。また、トレンドを見て行くためには、もう少し統計
が重ねられることを待つことになりそうです。
調査ポイントやランキングが絶対的なサービスの質の高低ではないでしょうし、
また、起業したばかりの中小サービス業などでは、総合的なサービスの高さより
も一点突破の高品位なサービスを訴求すべきという場合も多いでしょう。
それでも、期待されること、そして、その期待をどこまで超えてサービスできる
か、何が口コミに繋がるかといった、顧客満足に関する要素の捉えかたは、サー
ビス・商品を考えるうえで十分に役に立ちます。調査で用いる質問例も、参考に
なるでしょう。
なお、もちろん、顧客満足への取り組みでは、お客様自身の意思や感覚を把握す
ることが大切で、お客様はこう思っているはずだ、といった推測に留まってはい
けないという基本はここでも重要です。

いずれにしても、日本版CSIのモデルは、顧客満足が、何によってもたらされ
どのような効果につながるか、自社のビジネスを検討するうえで参考になります。
2010年には、中小企業でも使い易い指標の開発も予定されているようです。


■執筆者プロフィール

 松井 宏次(まつい ひろつぐ)
 ITコーディネータ 1級カラーコーディネーター 中小企業診断士
 mailto:hiro-matsui@nifty.com

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