iPadをあなたのお店で使ってみよう/山口 透

 先日、日本でもiPadが発売されました。

 iPadは、アップル社によって開発されたタブレット型コンピュータです。
iPod touchやiPhoneを大きくした形状で、厚さが1.3センチ、重量は約680g、9.7型の液晶画面を備えています。4月から発売し、世界では 3ヶ月間で約300万台販売されました。

 iPadの特徴は、3点ほど挙げられます。
1.複数の指で画面に触れて操作する、マルチタッチによるユーザインターフェース
2.無線LANや携帯電話網を利用し、いつでもどこでデータ通信が可能
3.無料・有料のアプリケーションがダウンロードでき、音楽、動画電子書籍などのコンテンツが視聴できるほか、ノート代わりやオフィス向けのアプリケーションなども利用できる

 このように、個人利用を前提に開発された端末ですが、いくつかのアプリケーションを使えば、小売業で活用できると思います。

 簡単に活用できそうなアプリケーションは、2つです。
1.デジタルフォトフレーム
2.電子書籍のビューワー

 デジタルフォトフレームというのは、デジタルカメラで撮影した写真を、自動的に次々と表示していく電子写真立てです。iPadに写真データをコピーし表示していきます。

 小売業では、この機能を使って、顧客への情報提供ができるでしょう。表示するコンテンツは、パソコンのパワーポイントで作成するとよいでしょう。もっと簡単にコンテンツを作る場合は、手書きのPOPやチラシを撮影して、そのまま表示すればよいのです。
 少し工夫をするのであれば、紙に書いた説明文を、店員が持って撮影してみましょう。この写真を連続して表示していくと、店員が話しかけているような、親近感が持てます。

 デジタルフォトフレームアプリケーションを顧客の目につくところで表示すると、新しさや動きのあるコンテンツのため、人目を引きやすいでしょう。店員が何もしなくても商品や仕組みを説明できます。
 例えば、本屋の手書きPOP、食品スーパーの献立、歯科のインプラントの紹介など新しい商品やサービスを紹介するには最適な媒体です。

 そして、顧客がデジタルフォトフレームに表示された情報を見ているときに、店員が声をかければよいでしょう。ここからが2つめのアプリケーションが有効です。

 2つめは、電子書籍ビューワです。電子書籍ビューワは、有料や無料でインターネットからダウンロードした書籍を読むツールです。無料の書籍は、著作権の切れた本を掲載している青空文庫が有名です。有料ではeBookJapanの他、マンガを電子化した電子コミックが有名です。電子書籍ビューワは画面にタッチしてページをめくるように、画面の上で指をスライドさせるとページをめくることができます。

 電子書籍ビューワは、文書データの表示に利用されているPDFフォーマットを表示できるうえ、パソコンから転送できます。この機能で自社のカタログなどをPDFにしてiPadに転送し、表示する使い方が考えられます。

 先ほどのデジタルフォトフレームと組み合わせれば、写真を使って顧客の興味を引き、店員が電子書籍ビューワを使って、カタログ等を使いながら説明をすれば、とぎれることなくスムーズに商品説明に移れます。

 これまでのことは、パソコンでもできただろうと思われます。もちろん技術的には可能でした。しかし、iPadはマウスやキーボードが無く、親近感のある端末なので、顧客も構えることなく商品やサービスに興味を持ってもらえるのではないでしょうか。

 今は、多くの方がこの端末を使って仕事に活かせないかと考えているところです。しばらくすると、すばらしいサービスが提供されるでしょう。


■執筆者プロフィール

山口 透(とおる) toruy55@nifty.com

流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、
デジタルサイネージの導入支援などを行っている。ITコーディネータ、システ
ムアナリスト