■東アジア交流時代・外国人観光客の受け入れ
京都観光の定番といえば、清水寺、金閣寺、二条城などが上げられますが、最近
どこへ行ってもアジア系の人々の顔を見かけることが多くなってきました。
2008年「京都市観光客調査」によると、京都市への国別外国人宿泊者割合は、北
米291千人、台湾113千人、オーストラリア66千人、フランス55千人、
中国49千人、イギリス42千人、ドイツ41千人、韓国40千人と続いていま
す。
たまたま筆者の勤務先で京都の観光調査を市内各地で行っていますが、外国人ア
ンケートについては、英語、中国語、韓国語に堪能な留学生の協力を得て、3人
人組の体制で実査を行っています。
そんな中で、アンケート質問項目にはないですが、外国人観光客とのちょっとし
た会話の中で、「京都駅の観光案内所の場所がわかりにくい」とか、「あちこち
観光地を廻っていてこの季節ペットボトルは必需品だが、それを捨てる場所がな
いのが困った」などの生の声が聞こえてきました。観光案内所はこの春に府と市
それぞれ別個にあったのが統一されて、京都総合観光案内所・愛称「京なび」と
して京都駅の南北自由通路に設けられたのですが、確かに初めて京都駅についた
外国人の方にとってはメインの中央改札口からちょっと離れた場所にあるので、
分かりづらいですね。全国共通のツーリストインフォメーションのピクトサイン
などがあれば分かりやすいですね。
■中国人観光客への商戦過熱
日本政府は、平成19年に「観光立国」を謳いあげ、観光を通じた消費の拡大、
需要の創造を目指していますが、この7月から、中国人への個人観光ビザ発給条
件が大幅に緩和されました。申請者の年収制限が、従来の25万元(約340万
円)から大幅に引き下げられました。中国の富裕層だけでなく、中間層も日本に
呼びこもうとの狙いです。
昨年中国本土から日本に来た個人・団体観光客は101万人でした。
7月のビザ緩和の効果で、7月の中国大陸からの訪日客が16万5100人(前
年同月の約2.5倍、今年6月と比較しても6万人余り増)に達したと報じられ
ています(月別で過去最高)。
また日本百貨店協会の推計によると、中国人を中心とする外国人観光客の7月の
売上高は前年同月比約52%増(朝日新聞8/27朝刊より)とのことです。
今年4~6月の中国人の日本での消費額は、503億円で外国人全体の22%、
同期間の訪日外国人数の20%(観光庁「訪日外国人消費動向調査」)占めてい
ます。
観光業界はそれぞれ中国人の取り込みに懸命に知恵を絞っています。
■観光客数を左右する外的要因の影響
2008年は鳥インフルエンザ騒ぎで大きな影響を被った観光業界ですが、2009年の
新型インフルエンザは幸い大きな広がりは見せず、観光客は順調に回復しました。
2010年は、宮崎県は口蹄疫感染拡大で大きな被害を被りましたが、幸い全国的な
影響は今のところなさそうで、終結宣言が出されました。
ただこのところの急激な円高により、我々日本人にとっては海外に行くのには好
都合ですが、海外からのインバウンドはこのままゆくと、特に欧米からの旅行者
は影響を避けられないでしょう。
■京都観光のベクトル
日本では人口減少期に入り、国内のサービス業は多かれ少なかれその対策が求め
られています。
もう一度、京都観光に視点を向けると、いろんなアンケート結果からも、京都は
「文化・歴史」的な面が評価されており、上位ポイントにのぼっています。
文化と経済の両立、両者を組み合考えることがこれからますます必要になってく
るでしょう。
「観光都市・京都」、観光はアンテナ産業。いろんな新しい試みをやってみて、
市場の動きをキャッチして、それをまた活かし、検証しえゆく。
それでもっていかにして魅力的な街を育んでいくか、コミュニティビジネスです
ね。
京都は昔から祇園祭、葵祭、時代祭と、そして近年では閑散期の宿泊誘導型イベ
ントとして、冬枯れ対策の「東山・嵐山の花灯路」、そして今年からはじまった
夏の「京の七夕」。新しい風物詩が都市格、ブランドを築いていきます。
観光振興を通じて世界に対してもより魅力的な都市にしていきたいものです。
■執筆者プロフィール
藤井健志
一級建築士、中小企業診断士、ITコーディネータ
(勤務先)(株)日商社 プロジェクト開発部
fujii@nisshosha.co.jp
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Taneka Bissonette (火曜日, 24 1月 2017 19:44)
I'm not sure exactly why but this blog is loading very slow for me. Is anyone else having this problem or is it a issue on my end? I'll check back later and see if the problem still exists.